【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (37 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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ⅱ. Non-typhoidal Salmonella spp.
データ元:地方衛生研究所
全国 21~23 か所の地方衛生研究所では、2015 年~2023 年に分離されたサルモネラ 3,303 株の薬
剤耐性状況を統一した方法で調査している 2。ヒト由来株及び食品由来株の主な血清型を表 19 に示し
ている。
ヒト(有症者)由来株(2,510 株)の 38.7%、食品由来株(1,173 株)の 90.2%が、調査に用いた
17 剤のうち 1 剤以上の抗菌薬に耐性を示した(表 20、21)。事業化された調査ではないものの、全
国的調査であり、2015 年~2023 年分離株の年次毎の耐性率は、国内の状況を反映していると考えら
れる。今期(2023 年)分離株では、ヒト由来 194 株中の 85 株(43.8%)、及び食品由来 186 株中の
166 株(89.2%)が 1 剤以上に耐性を示し、これらは、2015 年~2022 年に分離されたヒト由来 2,316
株の耐性率(38.3%)、及び食品由来 987 株の耐性率(90.4%)と比べ、それぞれ大きな相違はなか
ったが、過去 9 年間の年次推移では、ヒト由来株では 2021~2022 年にやや減少傾向が見られたが、
2023 年に増加し、食品由来株ではほぼ横ばいに推移している。6 から 13 剤に耐性を示す多剤耐性株
も、ヒト由来 2,510 株中の 46 株(1.8%)、食品由来 1,173 株中の 68 株(5.8%)に認められた。ま
た、2020 年のヒト由来分離株から初めてメロペネム(MEPM)に対する耐性株が検出され(表 20)、
分離された1株は S. Heidelberg で、MEPM を含め 8 剤に耐性を示す多剤耐性株であった。一方、食
品由来株からはこれまでにメロペネム耐性株は検出されていない。
食品由来株上位2血清型(S. Infantis、S. Schwarzengrund)の薬剤耐性率を表 22~23 に、ヒト由
来株上位 5 血清型(S. Infantis、S. Enteritidis、S. Thompson、S. 4:i:-, S. Saintpaul)の薬剤耐性率
を表 24~28 に示す。食品由来株では、最近(2020~2023 年)分離された S. Schwarzengrund の占
める割合が 2015 年~2019 年よりも特に高くなっていたが、耐性傾向は大きくは異なっていなかっ
た。一方、ヒト由来株においては血清型別に特徴的な耐性傾向が認められたため、血清型別の耐性率
を経年的に比較し示している。
また、ヒト由来株上位 10 血清型及び食品由来株上位5血清型に共通して見いだされる3血清型(S.
Schwarzengrund、S. Infantis、S. Manhattan)の薬剤耐性率をヒト由来株と食品由来株の間で比較
すると(表 29)、それぞれの血清型において、各種抗菌薬に対する全体的な耐性傾向に高い類似性
が認められることから、ヒト由来耐性菌(S. Infantis の約4割、S. Schwarzengrund と S. Manhattan
の大部分)と食品由来耐性菌との間の関連が強く示唆された。
薬剤感受性試験に加えて、2015 年~2022 年分離株(ヒト由来 2,316 株、食品由来 987 株)のうち、
セフォタキシム(CTX)、セフタジジム(CAZ)、セフォキシチン(CFX)の 1 剤以上に耐性を示す
菌株(ヒト由来 46 株、食品由来 8 株)を対象に、基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生
遺伝子及び AmpC 型 β-ラクタマーゼ(AmpC)産生遺伝子の検出を実施した。ESBL 産生遺伝子で
は、ヒト由来株、食品由来株とも、CTX-M-1 グループの保有が最も多く、TEM 型が次に多かった。
AmpC 産生遺伝子では、ヒト由来株、食品由来株とも、CIT 型の保有が最も多かった。これらの結果
から、ESBL 産生遺伝子、AmpC 産生遺伝子ともに、ヒト由来株と食品由来株での検出傾向に類似性
が認められた一方、CTX-M-9 グループ(ESBL 産生遺伝子)はヒト由来株のみに、EBC 型(AmpC
産生遺伝子)は食品由来株のみに検出されるなど、それぞれの株に特徴的な検出も認められた。
さらに、ヒト由来株と食品由来株の株間の詳細な系統解析や各株の保有遺伝子の解析等を行うため、
2015 年~2022 年に地方衛生研究所で分離されたサルモネラ 1,265 株(ヒト由来 683 株、食品由来
582 株)について、国立感染症研究所薬剤耐性研究センターと共同で、次世代シークエンサーを用い
た全ゲノム解析を実施した。
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