【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (95 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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される野菜の汚染 7 や水系レクリエーションにおける AMR への曝露リスク等への評価 8 も少しずつであ
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② 環境研究総合推進費課題成果(令和2年度~令和 5 年度)10-12
るが報告されつつあるためある一定のリスク循環が想定されている。現時点において環境リスクを論
じるための確たる基準設定が難しい状況ではあるが、環境 AMR を定量的に調査・評価すること、そし
て健康リスクを評価しうる研究の実施や国内外の主要文献のレビューとリスクアセスメントを通して、
環境 AMR 負荷の主要因を解明し、ヒトおよび動物への健康リスクへと発展しているのかを探究してい
くことが急務である。環境中の薬剤耐性のヒト・動物へのリスクを評価するために、感染症へのヒト動物-環境インターフェイスでの多分野にわたるワンヘルス・アプローチが不可欠である 9。
様々な薬剤や薬剤耐性菌を含む排水が最終的に流入する水環境は、薬剤耐性菌が拡大するリザーバ
ーとなっている可能性が指摘されており、薬剤耐性菌の拡大を抑制するためにも、水環境における薬
剤耐性遺伝子の伝播メカニズムを明らかにすることが重要である。そこで、令和2年度~令和4年度
環境研究総合推進費課題「環境中における薬剤耐性遺伝子の伝播ポテンシャルと伝達機構の解明」10 に
おいて、日本の主要河川を対象とした薬剤耐性菌の分布調査、in vitro 伝達実験を用いた薬剤耐性遺伝
子の伝播ポテンシャルの評価実験等が実施された。
薬剤耐性菌の分布調査では、東北地方の8つの河川(赤川、最上川、雄物川、岩木川、馬淵川、北川、
名取川、阿武隈川)を対象とした調査を実施した。全ての河川において、河川水中の大腸菌濃度は、採
水日で A 類型の環境基準を満たし、大腸菌汚染が少ないと判定された。検出された大腸菌を分離・同定
し、18 薬剤に対する薬剤感受性を評価した。その結果、試験した抗菌薬に対して 1 薬剤以上に耐性を
示す薬剤耐性大腸菌が 26.8%検出され、アンピシリンに対して最多の 178 株(24.2%)が耐性を示した
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。また、ABPC に耐性を示した菌株のうち、セフォタキシムとセファゾリンに耐性を示す株がそれぞ
れ 23 株(3.5%)と 1 株(0.2%)検出された。全大腸菌単離株ののうち 10%が異なる 3 薬剤以上に耐性
を示す多剤耐性菌(アンピシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、テトラサイクリン、キノロン系抗
菌薬(シプロフロキサシン、レボフロキサシン)であった。また、WHO により危険性が高いと位置づ
けられる ESBL 産生大腸菌も検出された。赤川と最上川の 1 年間の河川モニタリングを行うことで、
ESBL 産生大腸菌を分離することができたことから、その分離株の ESBL 産生遺伝子(bla)の特徴づ
けを行った。試験した 21 種類の bla のうち 17 種類が検出され、blaCTX-M-1 group が最も多く検出された。
注目すべき点は、国内型カルバペネマーゼである blaIMP だけでなく、国内での検出事例が少ないために
海外型とされる blaKPC や blaOXA-48、blaVIM、blaNDM も検出された点である。地点ごとに bla の検出数を
比較すると、下水処理場の直下で分離された株から、最も多い 15 種類の bla が検出された。臨床医療
の現場だけでなく、市中で生活する健常者もまた、河川に生息する薬剤耐性菌の排出源になっている
ことを示す結果が得られた。
in vitro 伝達実験を用いた薬剤耐性遺伝子の伝播ポテンシャルの評価実験では、腸球菌と大腸菌をモ
デル細菌として、環境を模擬した in vitro 伝達実験を行った結果、腸球菌では vanA のみ伝播が確認さ
れ、供与菌と受容菌の組み合わせによっては伝播ポテンシャルが 10-3~10-7 の範囲であることが確認さ
れた。また、河川水などの液相中では伝播が確認されず、菌体が集積する環境である活性汚泥中では、
低確率であるが伝播が確認された(10-7)。他方で、blaCTX-M を保有する腸内細菌目細菌を用いた場合
は、いずれの環境を模擬した条件でも伝播が確認された(10-4~10-8)。さらに、グラム陰性細菌は、
グラム陽性細菌と比較して、薬剤耐性遺伝子を伝播する場(伝場)のポテンシャルが高いことが示さ
れた。環境中における薬剤耐性遺伝子の伝播も十分に考えられ、特に細菌密度が高いと想定される箇
所には重点的な処理が必要であることが示唆された。
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