【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (74 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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② 養殖水産分野
データ元:動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)
JVARM では海産養殖水産分野における薬剤耐性に関する監視・動向調査として、病魚由来のα溶血
性レンサ球菌(※)症原因菌、類結節症原因菌(Photobacterium damselae subsp. piscicida)及びビ
ブリオ病原因菌(Vibrio spp.)、並びに水産養殖環境由来の腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)
の薬剤感受性の調査を実施している。供試株は、都道府県の水産試験場で病性鑑定のために分離・同
定した株等を用いており、2011 年から 2016 年においては毎年4~6 県、2017 年においては8県、
2018~2022 年には 10~12 県から菌株の提供があった。
なお、海産養殖水産分野における薬剤耐性の動向調査をさらに充実させるために、2017 年度からは、
対象を全ての養殖魚類に拡大し、α溶血性レンサ球菌症原因菌及びビブリオ病原因菌における薬剤感
受性の調査を実施している。
また、2021 年から健康魚(ぶり)由来の α 溶血性レンサ球菌症原因菌、ビブリオ病原因菌の薬剤感
受性試験の調査を試行しており、5県からの健康魚の提供があった。薬剤感受性試験には、CLSI のガ
イドラインに準拠した寒天平板希釈法又は微量液体希釈法を用いて MIC を測定した。BP は、CLSI で
規定されている薬剤についてはその値を採用し、CLSI で規定されていない薬剤については、微生物学
的 BP(二峰性を示す MIC 分布の中間値)を採用した。
※α溶血性レンサ球菌症の原因菌はすべて Lactococcus garvieae としていたが、従来の血清型と異なる型が発生し、従来の型
(Ⅰ型)と区別してⅡ型としていたものが 2023 年に Lactococcus formosensis として分類された(なお、以下は通称として
Ⅱ型と称する)。加えて、2020 年からさらに別の血清型(Ⅲ型)の α 溶血性レンサ球菌も発生している。
病魚由来細菌
ⅰ. 病魚由来α溶血性レンサ球菌症原因菌
2011 年から 2022 年まで、α溶血性レンサ球菌症に対する水産用医薬品として承認されている 4 薬
剤の調査を行った。全体的な傾向としては、低値で移行している EM 及び OTC と比べて LCM の耐性
率が大きく変動しており、Ⅱ型及びⅢ型の影響が示唆される。2022 年は、LCM に対する耐性率は
82.3%(Ⅰ型 43.5%、Ⅱ型 90.8%、Ⅲ型 98.7%(2021 年はⅠ型 24.6%、Ⅱ型 85.7%、Ⅲ型 50.0%))で
あった。2022 年の EM に対する耐性率は 5.2%(Ⅰ型 0%、Ⅱ型 10.8%、Ⅲ型 0%(2021 年はⅠ型 1.5%、
Ⅱ型 20.0%、Ⅲ型 50.0%))と、耐性率は前年の 14.5%と比べて大幅に減少した。OTC に対する耐性
率は 0%(Ⅰ型 0%、Ⅱ型 0%、Ⅲ型 0%(2021 年はⅠ型 1.5%、Ⅱ型 0%、Ⅲ型 0%))と、低値で維持
されていた。フロルフェニコール(FF)については二峰性の MIC 分布を示さず、BP を設定できなか
ったため、耐性率を求めることができなかったが、全ての菌株で低い MIC(≦4 µg/mL)であった(表
60)。
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