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【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》
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増した。一方、肺炎桿菌の第 3 世代セファロスポリン系薬の耐性率は依然として増加傾向を示した。
緑膿菌のカルバペネム耐性は減少傾向にある。腸球菌属では、国際的にはバンコマイシン耐性の増加
が問題となっている。日本では Enterococcus faecium のバンコマイシン(VCM)耐性率は海外に比
較して比較的低い水準にあるものの、2022 年は 2.6%と増加傾向にあり、一部の地域で VCM 耐性 E.

faecium による多施設が関連する広域な病院内アウトブレイクが認められている。
また、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の割合は 2019 年より再上昇の傾向にあったが、
2021 年減少に転じた。2022 年 2023 年も同傾向にあるが、諸外国に比して未だに高い水準にある。
食品およびヒト由来のサルモネラ属菌の各血清型において、各種薬剤に対する耐性率のパターンに明
瞭な類似性が認められたことから、食品およびヒト由来耐性株間の関連性が強く示唆された。
ゲノムサーベイランスでは、non-typhoidal Salmonella enterica による感染性腸炎や食中毒の患者
から分離されたヒト由来株は、基本的に動物・食品を介してヒトに伝播した可能性が高いと考えられ
たが、耐性遺伝子を保有した株が食品からヒトへ伝播していることを示唆する結果ではなかった。

Enterococcus spp.において、ヒト由来 VRE 株と食品由来株は系統的に分離しており、E. faecalis で
も、ヒト由来と食品由来の株は系統的に分離していることが分かった。三輪車プロジェクトでは、食
品(食鳥)由来株はヒト由来株および環境由来株と共通する ST は少なく、一方でヒト由来株と環境
由来株は共通の ST が多く全体の 28.2%(27 株)を占めることが分かった。
日本におけるヒト用抗菌薬の販売量に基づいた抗菌薬使用は、2023 年においては、11.96 DID であ
り、2020 年と比較して、17.4%増加していた。コロナ前の 2019 年と比較すると、6.2%減少してい
る。また内服薬は抗菌薬全体の 91.6%を占めており、その内訳では、第 3 世代セファロスポリン系、
フルオロキノロン系、マクロライド系の合計は経口抗菌薬全体の 68.1%を占めていた。2022 年は使
用比率の高い 3 系統の抗菌薬も、2020 年と比較すると、それぞれ 14.7%、25.0%、17.7%増加、
2019 年と比較すると、それぞれ 26.2%、8.1%、10.8%減少していた。一方、注射カルバペネム系抗
菌薬は 2020 年と比較して 6.7%減少していた。WHO が抗菌薬適正使用の指標として推奨している
AWaRe 分類における“Access”の割合は、2013 年から経年的にみると、11.2%から 2023 年は 22.94%
へと徐々に上昇し、“Watch” に分類される抗菌薬の占める割合は 87.41%から 75.98%へと低下してき
ている。
動物分野においては、畜産動物(牛、豚及び鶏)、水産動物(全ての養殖魚種)、愛玩動物(犬及
び猫)の薬剤耐性に関する動向調査を実施した結果、ヒトの医療で重要な抗菌剤の1つであるカルバ
ペネム系に対する腸内細菌目細菌の耐性率は畜産動物及び水産動物由来菌では 0.0%であったが、愛
玩動物由来クレブシエラ属菌で1株が耐性を示した。ヒトの院内感染などで大きな問題となるバンコ
マイシンに対する腸球菌属菌の耐性率はいずれも 0.0%であった。
畜産動物においては、アクションプラン(2023-2027)の成果指標としている健康な畜産動物由来
の大腸菌のテトラサイクリン系薬への耐性率は、牛で 23.4%、豚で 55.1%、鶏で 43.0%、第3世代セ
ファロスポリンの耐性率は、牛で 0%、豚で 0.7%、鶏で 0.7%、フルオロキノロン系の抗菌剤への耐
性率は、牛で 1.0%、豚で 3.7%、鶏で 14.8%であり、いずれの畜種及び薬剤においても大きな増減
は認められなかった。
水産動物においては病魚由来の α 溶血性レンサ球菌症原因菌において、リンコマイシンに対する
耐性率は 2017 年に 58.1%、2018 年に 31.5%、2019 年には 54.6%、2020 年に 53.8%、2021 年には
66.2%、2022 年には 82.3%で推移し、増加傾向にある。エリスロマイシン及びオキシテトラサイクリ
ンに対する耐性率は 2022 年にはそれぞれ 5.2%及び 0%であり、いずれも低値で維持されていたが、
前者では 2021 年の 14.5%から大きく減少した。健康な養殖ぶり由来のビブリオ属菌及び α 溶血性

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