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【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (149 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》
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(8) 環境
抗菌薬も含めて、医薬品や日用品等の医薬品類は、Pharmaceuticals and Personal Care Products
(PPCPs)とも呼ばれ、低濃度であっても生理活性作用を持つことがあるため、水生生態系への影
響が懸念されている 1。抗菌薬については医薬品類の一つとして、下水や下水処理水、再生水、環境
水、汚泥という環境中での抗菌薬濃度の測定結果がいくつかの研究で示されている 2。
下水処理の結果生じた下水汚泥(バイオマス)の一部は、嫌気性消化やコンポスト化を経て農業肥
料として再利用される場合があるが、PPCPs が下水処理過程や下水汚泥の消化過程で分解される度
合いは PPCPs によって異なる。例えば、抗菌薬の中では、サルファ剤はそのほとんどが分解される
が、オフロキサシンやノルフロキサシンといったフルオロキノロン類は、分解されず高濃度に汚泥中
に残留する 3。PPCPs の生分解過程は水温による影響を受け、また下水処理過程における水理的滞留
時間、活性汚泥の処理濃度、滞留時間などの処理条件によって、PPCPs の除去性が影響を受ける。
さらに除去を進めるため、膜分離活性汚泥法を用いて抗菌剤の除去性を改善する研究が行われている
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。また下水処理後にオゾンや促進酸化処理を導入することで抗菌薬除去の効率性を高める研究も国

内外で数多く行われていることから 2、日本での排出実態と開発状況について把握する必要がある。
日本の都市部の河川で検出される抗菌薬濃度を下水処理場の流入下水で調べた研究では、CPFX と
クラリスロマイシンの実測濃度とこれらの抗菌薬の出荷量や販売量から予測される濃度にはある程度
近似性がみられ、薬剤の出荷量や販売量によって抗菌薬の下水濃度を予測できるかもしれないことが
指摘されている 4。この研究の中では、例えば CPFX が下水に 51 から 442 ng/L、クラリスロマイシ
ンが 886 から 1,866 ng/L 含まれていたことが示されている。
1.環境中の抗菌剤の存在状況調査 5, 6, 7, 8, 9
環境省では、一般環境中における化学物質の残留状況を継続的に把握することを目的に実施してい
る化学物質環境実態調査において、環境中の抗菌剤についても、その存在状況について逐次調査して
いる。
その結果、河川水などから、エリスロマイシンが最大 30 ng/L、クラリスロマイシンが最大 490
ng/L、ロキシスロマイシンが最大 47 ng/L、クリンダマイシンが最大 11 ng/L、リンコマイシンが最
大 17 ng/L、スルファメトキサゾールが最大 190 ng/L、スルファジアジンが最大 29 ng/L、スルファ
ニルアミドが最大 210 ng/L、スルファピリジンが最大 290ng/L、スルフィソミジンが最大 13 ng/L、
オルメトプリムが最大 11 ng/L、ジアベリジンが最大 10 ng/L、トリメトプリムが最大 61 ng/L、ア
ジスロマイシンが最大 130 ng/L、アモキシシリンが最大 2.3 ng/L、チアムリンが最大 3.1 ng/L、レ
ボフロキサシンが最大 540 ng/L、クラリスロマイシン代謝物である 14-(R)-ヒドロキシクラリスロマ
イシンが最大 230 ng/L、アンピシリンが最大 1.4 ng/L、ストレプトマイシンが最大 2.3 ng/L が検出
されている。
2.抗菌剤の環境リスク初期評価 10, 11, 12, 13
環境省では、多種多様な化学物質の中から、相対的に環境リスクが大きいと想定される物質をスク
リーニングするため、環境リスク初期評価として人の健康に対するリスク(健康リスク)と生態系に
対するリスク(生態リスク)について評価書を取りまとめている。
抗菌剤について実施した環境リスク初期評価では、いずれも生態リスクについて検討されており、
ロキシスロマイシンとスルファメトキサゾールは詳細な評価を行う候補され、リンコマイシン、スル

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