【資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2024(たたき台) (117 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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代セファロスポリン販売量の多い豚においても、健康な豚の大腸菌の第 3 世代セファロスポリン耐性で
あるセフォタキシムの耐性率は 2.1%と低い状況である。
環境由来検体については、2020~2021 年の調査により、ESBL-Ec の割合が河川水(上流)で 1.96%、
河川水(下流)で 0.39%、下水流入水で 4.77%であった。また、食鳥処理場/と畜場排水流入水では
0.72%であった。河川水から薬剤耐性菌が分離されたという単発の報告は多数あるものの、大腸菌全体
に占める ESBL-Ec の割合を示した報告は少なく、例えばガーナの河川由来大腸菌は 98%が ESBL-Ec
であるという報告 16、インドネシアの環境水由来大腸菌は 4.2~30.2%が ESBL-Ec であるという報告 17、
アメリカではすべての環境検体で大腸菌の ESBL 保有率は 8.5%という報告 18 などがある。
今回の検討で得られた ESBL-Ec を NGS 解析し、それにより判明した Sequence Type (ST)の分布を
ベン図で示した(図 20)。これによると、食鳥処理場の鶏盲腸便由来株はヒト由来株および環境由来
株と共通する ST は少なく、一方でヒト由来株と環境由来株は共通の ST が多く全体の 28.2%(27 株)
を占めることが分かった。また、3 つのセクターから共通で見いだされた ST は ST93、ST117、ST155、
ST162 であった。なお、ST および CTX-M の保有パターンでは、ヒト由来 ESBL 株と環境(下水)由
来株は共通の ST、CTX-M を保有する株が認められた一方で、食鳥処理場の鶏盲腸便由来株はそれらと
共通する株が認められなかった。これらの菌株およびプラスミドの関連性や薬剤耐性遺伝子の伝播メ
カニズムは今後、解析する予定である。
図 19
大腸菌全体に占める ESBL-Ec の割合
大腸菌全体に占める ESBL 産生大腸菌の割合を示した⁵。検体ごとに、解析対象とした年代は棒グラフ下に示した。解析対象とし
た集団は引用文献を参照。
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