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我が国の財政運営の進むべき方向 (19 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html |
出典情報 | 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》 |
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入りつつある今だからこそ、歳出構造をいち早く平時化させ12、持続可能
な財政構造の構築に向けて取り組んでいくことが必要である。既存の社
会経済システムを大胆に変革することで、企業の投資を促し、民間主導の
自律的な経済成長を実現していくとともに、財政健全化に向けた揺るぎ
のない姿勢を国内外に示し、財政に対する市場の信認を確保していくべ
きである。そのためには、現行の財政健全化目標(2025 年度の国・地方
のプライマリーバランス13黒字化、債務残高対 GDP 比の安定的な引下げ)
を堅持し、その実現に向けて、規律ある「歳出の目安」14の下で歳出改革
の取組を継続すべきである。加えて、
「金利のある世界」を強く意識する
とともに、国家のリスクマネジメントの観点から、有事に備えた財政余力
を確保するためには、債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げていくこと
が求められる。そのためには、プライマリーバランス黒字化の達成後にお
いても、一定の黒字幅の確保や財政収支の赤字幅の縮減を継続していく
ことを通じ、財政の強靱化を図っていくべきである。現行の財政健全化に
向けた取組を一歩も後退させてはならず、政府は高い緊張感を持って財
政運営に臨むべきである。
12
例えば、令和4年(2022 年)1月に一時的な緊急避難措置として開始した燃料油価格激変緩和
事業については、累次の延長の結果、これまでに総額約 6.4 兆円という巨額の予算を措置してい
る。G7主要国のほとんどは既に同様の価格高騰対策を終了しており、我が国も、脱炭素化に向
けて産業構造の転換を図る観点も踏まえ、本事業は早期に脱却する必要があると考えられる。
13 プライマリーバランスとは、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれ
だけ賄えているかを示す指標。税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いに充
てられる費用等)を除く歳出との収支のことを表す。プライマリーバランスが均衡していれば、
その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等で賄うことができていることとなる
(ただし債務残高の実額は利払費の分だけ増加する)。
14 「経済財政運営と改革の基本方針 2021」
(令和3年(2021 年)6月 18 日閣議決定)に以下の
記載がなされている。
「2022 年度から 2024 年度までの3年間について、これまでと同様の歳出改革努力を継続する
こととし、以下の目安に沿った予算編成を行う。
① 社会保障関係費については、基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加
分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏
まえ、その方針を継続する。
② 一般歳出のうち非社会保障関係費については、経済・物価動向等を踏まえつつ、これまで
の歳出改革の取組を継続する。
③ 地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始め地
方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2021 年度地方財政計画の
水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。
」
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な財政構造の構築に向けて取り組んでいくことが必要である。既存の社
会経済システムを大胆に変革することで、企業の投資を促し、民間主導の
自律的な経済成長を実現していくとともに、財政健全化に向けた揺るぎ
のない姿勢を国内外に示し、財政に対する市場の信認を確保していくべ
きである。そのためには、現行の財政健全化目標(2025 年度の国・地方
のプライマリーバランス13黒字化、債務残高対 GDP 比の安定的な引下げ)
を堅持し、その実現に向けて、規律ある「歳出の目安」14の下で歳出改革
の取組を継続すべきである。加えて、
「金利のある世界」を強く意識する
とともに、国家のリスクマネジメントの観点から、有事に備えた財政余力
を確保するためには、債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げていくこと
が求められる。そのためには、プライマリーバランス黒字化の達成後にお
いても、一定の黒字幅の確保や財政収支の赤字幅の縮減を継続していく
ことを通じ、財政の強靱化を図っていくべきである。現行の財政健全化に
向けた取組を一歩も後退させてはならず、政府は高い緊張感を持って財
政運営に臨むべきである。
12
例えば、令和4年(2022 年)1月に一時的な緊急避難措置として開始した燃料油価格激変緩和
事業については、累次の延長の結果、これまでに総額約 6.4 兆円という巨額の予算を措置してい
る。G7主要国のほとんどは既に同様の価格高騰対策を終了しており、我が国も、脱炭素化に向
けて産業構造の転換を図る観点も踏まえ、本事業は早期に脱却する必要があると考えられる。
13 プライマリーバランスとは、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれ
だけ賄えているかを示す指標。税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いに充
てられる費用等)を除く歳出との収支のことを表す。プライマリーバランスが均衡していれば、
その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等で賄うことができていることとなる
(ただし債務残高の実額は利払費の分だけ増加する)。
14 「経済財政運営と改革の基本方針 2021」
(令和3年(2021 年)6月 18 日閣議決定)に以下の
記載がなされている。
「2022 年度から 2024 年度までの3年間について、これまでと同様の歳出改革努力を継続する
こととし、以下の目安に沿った予算編成を行う。
① 社会保障関係費については、基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加
分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏
まえ、その方針を継続する。
② 一般歳出のうち非社会保障関係費については、経済・物価動向等を踏まえつつ、これまで
の歳出改革の取組を継続する。
③ 地方の歳出水準については、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始め地
方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2021 年度地方財政計画の
水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。
」
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