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我が国の財政運営の進むべき方向 (60 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
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参照〕
女性の有業率が過去最高になる中で、女性の活躍をより推進していく
ためにも、職場の文化・雰囲気を含め社会全体の雇用慣行を抜本的に変え
ることは急務であり、仕事と育児を両立できる環境作りを進め、夫婦のい
ずれもがキャリアを犠牲にすることなく、協力して育児できる社会を作
るため、制度の見直しも含め検討していく必要がある。
特に、女性において、キャリアと家庭の両立を阻む障壁が存在し、
「仕
事か、出産・育児か」の二者択一を迫られていると指摘されている。女性
の正規雇用比率が 20 代をピークに低下し、30 代、40 代などは、非正規
雇用が中心となる、いわゆる「L 字カーブ」が見られる。また、出産・育
児でキャリアを中断することに伴う機会費用が相当な額にのぼっている
92と示唆されており、
「仕事と両立できる働き方ができそうにない」こと

が出産退職をした大きな理由となっている。このことを踏まえれば、若い
世代がこどもを持つことで、退職したり、働き方を変更したりせざるを得
ない状況に置かれており、収入が低下・喪失することを「経済的リスク」
と考え、出産・育児を回避することにつながっている可能性がある。
〔資
料Ⅳ-1-8参照〕
また、育児負担が女性に集中する「ワンオペ」の課題も指摘されている。
育児休業取得率は、女性は8割台で推移している一方、男性は上昇してい
るものの女性より大幅に低い水準にとどまっている。取得期間について
も、女性は9割以上が6か月以上である一方、男性は約5割が2週間未満
と短期間が中心となっている。正社員男性が育児休業制度を利用しなか
った理由は「収入を減らしたくなかった」や「取得しづらい職場の雰囲気、
職場の無理解」等も多く、制度はあっても利用しづらい職場環境の存在が
見受けられ、こうした状況は、中小企業においてより顕著であると考えら
れる。また、特に育児期においては、男女で育児・家事を分担できるよう、
時短勤務やテレワークを含めた柔軟な働き方へのニーズが高いが、そう

92

久我尚子「大学卒女性の働き方別生涯賃金の推計」
(ニッセイ基礎研究所・基礎研レポート、令
和5年(2023 年)2月 28 日)によれば、正規・出産等の休業なしの場合と正規・出産退職しそ
の後非就業の場合で退職金を含めた生涯賃金に2億円程度の差が生じることが示唆されている。

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