よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


我が国の財政運営の進むべき方向 (40 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

済の分断化を招く可能性がある」58、また、産業政策一般として「補助金
ではなく民間の資金調達に委ねておく方が賢い」59という主張も従来から
見られる。〔資料Ⅲ-1-12 参照〕
半導体を含む産業政策を行うに当たってはこうした点に留意しつつ、
近年増加している企業保有の現預金の効果的な活用を促すとともに、資
金調達の手法として出資・融資60等も含めて民間資金を積極的に動員する
ことが必要である。また、これまでの我が国における産業政策の功罪や、
経常収支等の動向から見られる日本企業の稼ぐ力の低下、人口減少が進
む中で今後も厳しい状況が続く我が国の財政事情等を踏まえると、持続
可能な経済成長の実現を図る観点からも、政府が支援すべき産業・対象企
業等の選択と集中を徹底することが不可欠である。気候変動やデジタル
化等の社会課題の解決に対し、民間では取り切れない大きなリスクを政
府が担ってきている現状に鑑みれば、まず政策の予見可能性を高めると
ともに、個別企業に代わって政府、すなわち国民全体が取っているリスク
の実態を国民に対して明らかにすることが必要である。したがって、継続
的に投資対効果のモニタリングを行うことで、効果がしっかりと見込ま
れる分野へ資源を重点的に投入するとともに、効果の上がらない分野へ
の支援や時間の経過に伴い必要性の薄れた政策は廃止も含めた見直しを
行うべきである。また、官民のリスク分担の適切な在り方や産業政策のフ
ェーズの変化を常に意識し、政府の関与の在り方を不断に見直していく
ことが必要である。
2.人口減少下での地域の課題への対応
今後我が国で進む人口減少は、国の在り方、特に地域社会の在り方に大
きな影響を及ぼす。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によれ
ラガルド ECB(欧州中央銀行)総裁 ニューヨークにおける講演(令和5年(2023 年)4月)
ジャン・ティロール著、村井章子訳『良き社会のための経済学』
(平成 30 年(2018 年)8月)
60 コンディショナルローン(条件付き融資)のような新たな手法も考えられる。事業失敗により
収益が得られなければ返済を免除する(=補助金同様の扱いになる)一方、成功時には、融資額
に金利を加えた金額に達するまで売上の一定割合をロイヤリティとして課す等の仕組みである。
58
59

― 25 ―