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我が国の財政運営の進むべき方向 (30 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
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示された。〔資料Ⅱ-4-6参照〕
一般的に、金利が上昇した場合、新たに償還期限が到来した低い金利の
国債から、高い金利の国債に順次置き換わっていく。このため、金利が上
昇した場合の利払費の増加が完全に発現するまでには一定の時間を要す
る。このことは、いわば「期間のボーナス」と言える面もあるものの、か
かるボーナスが存在するがゆえに財政の健全化に向けた手綱を緩めて良
いということには決してならない。仮にその後金利が低下したとしても、
これによる利払費の減少が完全に発現するまでには一定の時間を要する
という意味での「期間のオーナス」も存在する。金利の上昇による財政へ
の影響は長期にわたって生じることを常に意識しておくべきである。
〔資
料Ⅱ-4-7参照〕
なお、いわゆるドーマー条件36を念頭に、名目経済成長率(g)が名目
金利(r)を上回れば、プライマリーバランスが赤字であっても債務残高
対 GDP 比は減少するので問題はないとの指摘もある。しかしながら、日
本における 1990 年代から足もとにかけての名目経済成長率と国債債務
残高に係る平均金利(以下「平均金利」という。)の推移を見ると、極め
て緩和的な金融政策が実施されてきた 2010 年代以降においては、名目経
済成長率が平均金利を上回る時期もあれば下回る時期も見られるものの、
それ以前は全体として平均金利が名目経済成長率を上回っている。こう
した歴史的な事実を踏まえると、名目経済成長率が平均金利を上回ると
いう楽観的な前提に立って財政運営を行うべきではなく、むしろ平均金
利が名目経済成長率を上回る可能性があることを視野に入れて今後の財
政運営を行っていくことが必要である。〔資料Ⅱ-4-8参照〕
また、昨年秋の建議でも指摘したことではあるが、有事において財政面
でも機動的な対応が可能となるよう、常に財政余力を確保していくこと
も求められる。新型コロナの感染拡大に当たり、我が国は各国同様に巨額

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ドーマー条件とは、名目成長率と名目金利を比較し財政の安定性を示すもので、プライマリー
バランスが均衡している状態においては、名目成長率が名目金利より高ければ債務残高対 GDP
比は減少し、名目成長率と名目金利が同じであれば債務残高対 GDP 比は一定となり、名目成長
率が名目金利より低ければ債務残高対 GDP 比は増加する、というものである。

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