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我が国の財政運営の進むべき方向 (29 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
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る。すなわち、債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げていくためには、
まずはプライマリーバランスを黒字化することが一里塚となる。
我が国の国・地方のプライマリーバランスの推移を見ると、平成4年度
(1992 年度)以降は 30 年以上にわたり一貫して赤字が続いている。内
閣府の中長期試算33によれば、成長実現ケースの場合、歳出改革努力を継
続すれば、2025 年度のプライマリーバランス黒字化が視野に入る状況と
なっているが、今後の経済の下振れリスクや、追加的な財政需要が生じる
可能性等を踏まえると、その実現は必ずしも楽観視できる状況にはない。
目標実現のためには、現行の財政健全化目標を堅持し、歳出構造の平時化
を図るとともに、規律ある「歳出の目安」の下で歳出改革の取組を継続し
ていくことが必要不可欠である。その際には、優先度の高い施策に財政資
金を重点投入し効果の低い既存予算の廃止・縮減を図る、スクラップ・ア
ンド・ビルドの考え方を徹底することも重要である。〔資料Ⅱ-4-4、
5参照〕
(2)
「金利のある世界」と有事への対応
上記のとおり我が国の債務残高対 GDP 比は世界で最悪の状態にある。
巨額の債務残高を抱える中でひとたび金利が上昇すれば、利払費が年を
追うごとに増加し、その影響が長期に及ぶことが懸念される。例えば、令
和6年度(2024 年度)後年度影響試算34の考え方に基づき、令和7年度
(2025 年度)以降金利が1%上昇した場合の利払費の増加幅を機械的に
延伸すると35、利払費の増加幅は段階的に拡大し、9年目の令和 15 年度
(2033 年度)時点における利払費は+8.7 兆円に達するとの試算結果が

「中長期の経済財政に関する試算」
(内閣府(令和6年(2024 年)1月 22 日))
。なお、
「中長
期試算」をめぐっては、かねてより、経済前提等が楽観的過ぎるのではないかとの指摘もある。
34 「令和6年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」
(財務省(令和6年(2024 年)2月)
35 一定の経済前提(名目 GDP 成長率3%、物価上昇率2%)を仮置きした上で、令和6年度当
初予算の制度・施策を前提として、令和7~9年度の国の一般会計の歳出・歳入を機械的に試算。
新規国債発行額は、令和9年度までは、試算した歳出・歳入の差額、令和 10 年度以降は、令和
9年度の額と同額で推移すると仮定。金利については、令和6年度は予算積算金利(1.9%)
、令
和7年度以降はインプライド・フォワード・レート(市場に織り込まれた金利の将来予想)を加
味した金利に設定した上で、それぞれの年度における金利を1%上昇させ、上昇前後の利払費を
比較したもの。
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