よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


我が国の財政運営の進むべき方向 (71 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

医療現場では、費用対効果評価等を経ずに保険収載された医薬品が医
師の判断に基づき自由に使用される。一方で、高額療養費制度があるため、
患者側・医療機関側ともに、高額医療に対してコスト意識が働かない。ま
た、減薬・休薬を含む医薬品の適正使用は副作用の軽減にもつながるため、
患者本位の治療の確立に向けて一層の努力が必要との指摘もある。
こうした公的保険の対象範囲、医薬品市場、医療現場における課題を解
決していく必要がある。質の高い医療の提供・イノベーションの促進と、
国民皆保険制度の持続性確保を両立する観点から、諸外国の例も踏まえ、
費用対効果等の経済性や患者の利益を勘案した保険診療が効率的に行わ
れる仕組みを構築すべきである。〔資料Ⅳ-2-15 参照〕
①医薬品の保険収載の在り方
日本では、有効性・安全性が認められ薬事承認された医薬品は、年4回、
事実上全て公的保険で収載されている。年度途中の保険収載により生じ
る財政影響は、予算編成においては勘案されておらず、予算統制の枠外と
なっている。また、保険収載された新薬に対する費用対効果評価の適用も
極めて限られている。〔資料Ⅳ-2-16 参照〕
公的な医療保険等が財源の中心となっている諸外国を見ると、薬事承
認とは別に、薬価のコントロール手段として、費用対効果分析(イギリス
等)や追加的有用性評価(フランス、ドイツ等)により、保険償還の有無
や償還価格を決める仕組みを採用しているのが一般的である。
イギリスでは、薬事承認後に費用対効果評価を行い、その結果に応じて
公的医療制度での償還についても判断される。1割強の新薬について保
険収載が非推奨となっているほか、3割の新薬について適用場面を限定
した上での保険収載を推奨している。推奨された新薬について費用対効
果評価の結果を踏まえて償還価格の調整・決定がなされる。
フランス105やドイツでは追加的有用性評価を幅広く適用し、新薬の価
フランスでは、追加的有用性評価に基づき新薬の表面価格(list prices)を設定。新薬の6割が
評価5(追加価値なし)とされるなど厳格に運用されている。追加的有用性がある新薬(評価1

105

― 56 ―