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我が国の財政運営の進むべき方向 (22 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
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こうした中、日本銀行は本年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利
の解除や「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みの見直しを決
定し、金融政策の枠組みは大きく見直されることとなった。コロナ禍では
概ね0%近くの水準となっていた長期金利は、昨夏以降は1%に近い水
準まで上昇している。
「金利のある世界」は既に現実のものとなっている。
〔資料Ⅱ-2-1、2参照〕
(2)国債発行等の状況
我が国における借換債等を含めた毎年度の国債発行額は、コロナ禍前
は 150 兆円前後で推移していたが、令和2年度(2020 年度)には新型コ
ロナへの対応のために巨額の補正予算を計上した影響から、257 兆円程
度まで急増した。その後はやや減少傾向にあるものの、令和6年度(2024
年度)の国債発行額はコロナ禍以前の水準と比べれば 30 兆円程度上振れ
しており、我が国の国債発行規模が依然として極めて高い水準にあるこ
とに変わりはない。
〔資料Ⅱ-2-3参照〕
国債のカレンダーベース市中発行額20の年限別構成を見ると、コロナ禍
直後には年限1年以下の短期債の発行割合が大きく上昇した。その後は
徐々に短期債の発行額を縮小し、相対的に中長期債・超長期債の割合を増
加させたことにより、令和6年度(2024 年度)に発行を予定している国
債の平均償還年限は8年7か月とコロナ禍前の状況に戻りつつある21。こ
うした償還年限の長期化は、短期的な金利変動に対する脆弱性を回避で
きるという効果がある一方で、金利が上昇した場合、これに伴う利払費増
の影響が長期に及ぶことになる点には留意が必要である。
〔資料Ⅱ-2-
4参照〕
10-12 月期 GDP2次速報後の GDP ギャップの推計結果(令和6年3月 15 日公表)については、
▲0.6%の若干のマイナスとなっている。また、日本銀行の推計(令和6年4月3日公表)では昨
年 10-12 月期 15 四半期ぶりにプラスに転じている。なお、GDP ギャップについては、潜在 GDP
の推計方法に課題があること等から幅を持って見る必要がある。
20 あらかじめ額を定めた入札により定期的に発行する国債の、4月から翌年3月までの発行予定
額(額面)の総額をいう。
21 令和6年度国債発行計画における短期債の発行額は 38.4 兆円と、依然としてコロナ禍前の水
準を上回っている。短期債への依存が高まると、今後短期金利が上昇した場合に金利の高い国債
への借り換えが急速に進むため、金利変動に脆弱な資金調達構造となることに留意が必要。

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