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我が国の財政運営の進むべき方向 (31 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
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の財政出動を行った。これらは総じて必要な対応であったと言えるが、そ
の結果として我が国の財政事情はより一層厳しい状況に追い込まれた。
新型コロナの感染拡大が生じる前の令和2年(2020 年)1月の中長期試
算では、国・地方の公債等残高対 GDP 比は、成長実現ケースの下では将
来的に安定的に減少し、ベースラインケースの下でも令和6年度(2024
年度)まで減少していく見通しが示されていたが、その後新型コロナの感
染拡大に伴う対応等により、結果として公債等残高対 GDP 比は大きく増
加した。
今後我が国で想定される有事としては、大規模地震が挙げられる。例え
ば南海トラフ地震や首都直下型地震が発生した場合には膨大な財政需要
が発生することが想定される。このほか、新たな感染症の拡大や安全保障
上の有事といった事態も想定し得る。国家のリスクマネジメントという
観点から、そうした事態が発生するリスクに備えておくことが必要であ
る。我が国の債務残高対 GDP 比は、総債務で見ても、金融資産を差し引
いた純債務で見ても、諸外国と比べて突出した水準にある。こうした点を
踏まえれば、今後債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げることによって
財政余力を確保していくべきである。平時においては節度ある財政運営
を行うことによって、有事が発生した場合において躊躇無く財政措置を
講じることが可能となる。〔資料Ⅱ-4-9参照〕
「金利のある世界」の下、名目金利が名目経済成長率を上回る可能性を
視野に入れて財政運営を行っていくべきであること、かつ、今後有事が発
生するリスクに備えて債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げていくべ
きであることを踏まえれば、プライマリーバランス黒字化実現は財政健
全化のあくまでも一里塚である。その実現後においても、プライマリーバ
ランスの一定の黒字幅の確保や財政収支の赤字幅の縮減を継続していく
ことを通じ、中長期的な視点に立って財政の強靱化を図っていくべきで
ある。その際には、客観的な事実認識と慎重な将来予測に基づくことが基
本であることは論を俟たない。

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