よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


我が国の財政運営の進むべき方向 (59 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20240521/zaiseia20240521.html
出典情報 我が国の財政運営の進むべき方向(5/21)《財務省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

韓国や台湾などアジア諸国・地域においては、日本以上に出生率の低下が
著しい。〔資料Ⅳ-1-4参照〕
フランスでは、1970 年代後半以降、女性就労の進展とともに「出産時
期の先送り」が進み、その年の出生率を示す年次合計特殊出生率87は低下
したものの、世代全体の出生率(世代合計特殊出生率88)は低下せず、1990
年代以降、出生率は回復した。他方、我が国では、出産時期の先送りとと
もに、世代全体の出生率が低下しており、これについては、仕事と育児を
両立できなかったことが影響しているとの指摘がある。
〔資料Ⅳ-1-5
参照〕
韓国では、累次の少子化対策が策定され、予算が投入されている中で、
出生率(2023 年速報値)が 0.72 と深刻な状況にある。また、未婚・晩婚
化の進展が少子化の大きな要因の一つとして挙げられている。若者の結
婚に対する意識の変化も顕著であり、その背景として、不動産価格の高騰
や若者の就職事情、過度な教育費負担等が指摘されている。さらにその裏
側には、都市への一極集中や過度な競争主義、男性中心社会といった構造
的な課題の存在も指摘されている89。〔資料Ⅳ-1-6参照〕
③我が国の構造課題
日本においても、①男性の意識が変わらず、
「共働き共育て」が確立さ
れていないことが出生率低下の要因となっているとの指摘90や、②女性の
働き方に関する意識の変化に社会の仕組みが対応できていないことが、
少子化の加速という形で現れているとの指摘91がある。
〔資料Ⅳ-1-7

87

ある期間(1年間)の出生状況に着目したもので、その年における各年齢(15~49 歳)の女性
の出生率を合計したもの。女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の合計特殊出生率」であ
り、年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。
88 ある世代の出生状況に着目したもので、同一世代生まれ(コーホート)の女性の各年齢(15~
49 歳)の出生率を過去から積み上げたもの。
89 出石直 NHK 解説委員「出生率 0.78
韓国の少子化対策はなぜ失敗したのか」(令和5年(2023
年)4月 10 日)、イー・サンヨン「世界最下位を記録した韓国の出生率、その現状と政府の対応」

(独)労働政策研究・研修機構、令和4年(2022 年)7月)
90 メアリー・ブリントン「縛られる日本人」
(中公新書、令和4年(2022 年)

91 権丈英子「女性が活躍する日本経済を実現するためにワーク・ライフ・バランス施策のアップ
デートを」
(月刊資本市場、令和5年(2023 年)12 月)

― 44 ―