【参考報告書2】(2)福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業(報告書案)[11.0MB] (235 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56824.html |
出典情報 | 社会保障審議会 介護給付費分科会(第246回 4/14)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
本事業のまとめ
本調査においては、福祉用具貸与価格の上限設定の見直しが3年に1度とされたことによる介護保険
給付の適正化や財政的な影響・効果、及び上限価格の見直しが行われたことによる福祉用具貸与事業所の
経営動向や事務負担、利用者へのサービス提供への影響等を改めて確認し、今後の福祉用具貸与サービス
の制度等に対する検討課題を抽出することを目的として実施した。
本事業は初回の上限価格の設定が行われた平成 30 年度から継続的に調査を実施してきたところであ
る。初回の上限価格設定当初から、上限価格の設定方法が「平均貸与価格+1標準偏差」であるため、上
限価格の設定を繰り返すほど財政的な影響が少なくなることが予測されていた。本事業にて分析対象
データを用いて、令和5年 10 月貸与分と令和6年4月貸与分の貸与価格の変化を、
「貸与価格の変化が
なかった商品」
、
「貸与価格の上限がある商品で上限を超える貸与をしていた商品」、
「貸与価格の上限があ
る商品で上限を超えない貸与をしていた商品」及び「貸与価格の上限がない商品」に分類した上で集計し
た結果は、約1億5千万円(0.4%)の減少と計算され、平成 30 年度調査結果の 2.0%減少、令和3年度
調査の 0.9%減少と比べて、少なかった。
今後も継続して現在の制度に基づく見直しを実施した場合のシミュレーションを実施したところ、上
限価格の見直しを実施しても総貸与額の抑制効果は次回-0.18%、次々回-0.09%に留まる。一方、上限
設定の見直しにより影響を受ける利用者の割合は、次回 27.8%、次々回 28.5%と推計され、事業所の事
務負担等は増える傾向にあるが、財政的な影響は小さいことが示唆された。
アンケート調査結果からも、貸与価格の見直しを理由に事業所内で実施した事務作業として、
「介護支
援専門員への貸与価格変更に関する説明の実施」
(88.2%)、
「介護支援専門員への貸与価格変更に関する
説明文書の作成」
(80.4%)
、
「利用者への貸与価格変更に関する説明文書の作成」
(76.8%)が挙げられた。
一方、貸与価格の上限見直しを理由とした事業所としての利用者への対応は変更されておらず、利用者
が必要とするサービスは概ね維持されていると考えられた。これらの分析・調査結果を受け、今後の上限
価格の設定方法等については更なる検討が必要と考えられる。
令和6年度介護報酬改定において「一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入(以下、
「選択制
の導入」という)
」が導入されたことを受け、本事業では福祉用具貸与価格の上限設定の見直しの影響に
留まらず、選択制の導入の施行直後の実態や課題等についても把握を行った。選択制の対象となった福祉
用具について、購入を選択した利用者が最も多かった種目は「固定用スロープ」であり、新規利用者が
19.8%、継続利用者が 11.1%だった。購入を選択した利用者が購入を選択する際の決め手では、複数の
要因が想定されるが、事業所が把握する最も多いものについて回答いただいた。いずれの種目も「長期利
用が想定されるため」が約半数と最も多かった。
また、選択制の導入については介護保険総合データベース上の特定福祉用具販売の請求実績をもとに
集計を行ったが、介護保険総合データベースに格納されている特定福祉用具販売のデータは、国民健康保
険連合会に事務委託を行っている市町村(保険者)に限定される特性上、小規模の市町村のデータに偏り
があるため、今後の選択制の導入の効果検証方法についても改めて検討が必要と考えられた。
227