資料 令和5年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(案) (66 ページ)
出典
公開元URL | https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/post-134.html |
出典情報 | 救急業務のあり方に関する検討会(2/20)《総務省》 |
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増加する救急需要への対策は、119 番通報の契機となる救急需要に加えて、医療
機関の受入体制、入院患者の転院及び退院(いわゆる医療の「出口問題」
)に至る
まで、消防機関の外部を取り巻く幅広い社会環境の影響を受けるものであり、こ
れまでに述べた論点の他にも非常に多岐に渡る着眼点があり、背景となる制度設
計、財源、組織等も含めて検討が必要なものが含まれている。
例えば、救急需要は国民の年齢・疾病構造、救急医療への理解度、費用負担、医
療水準等によっても変動すると考えられる。令和6年度からは各都道府県が策定
する第8次医療計画も開始されるが、厚生労働省で検討が進められてきた地域医
療構想、医師の働き方改革、医師偏在対策、さらにかかりつけ医機能の強化にも
救急体制は大きな影響を受けるだろう。また、軽症者等に対応するオンライン診
療、在宅医療等へ繋げる取組も重要である。さらに、医療の「出口問題」は、救命
後の医療として高齢者救急と関連して議論されているが、高齢者福祉施策の充実、
療養環境の整備、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の普及といった動向と
も関連するだろう。
わが国において、歴史的に災害・事故等のセーフティネットの一つとして 119 番
通報を消防機関が一手に担ってきた経緯があり、傷病者の搬送から医療機関の受
入れ、入院・退院に至るまでの過程の一部を構成している。このため、コロナ禍に
おいて、保健所にとって地域のルールが重要であったことと同様、緊急度判定体
系において、緊急度に応じた傷病者の適切な搬送先・サービス等が整備され、適
切な連携体制と振り分け機能が構築されることは、消防機関にとって重要な意味
を持っている。
緊急度判定体系は、救急需要の発生から医療機関の受入れまでを繋いでおり、
救急需要に対応する基盤は平時を見据えて国全体として同時並行で整備すべきも
のである。根本的な対策を進めるには、引き続き、適切な作業・連携体制に基づ
き、救急ひっ迫時のみならず平時を見据えて、救急需要対策の視点から全体像を
もって体系的に議論を行うことが肝要である。
今後とも救急分野に閉じることなく視点を高くもって関係機関や社会全体で問
題意識を共有し、わが国の社会保障政策の枠組みの中で救急のあるべき姿が議論
され、社会環境の変化を踏まえた救急体制が構築されることが強く望まれる。
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