参考資料1 自治体から連絡のあった疾患に関する新旧の診断基準及び臨床調査個人票 (120 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
大型・中型の動脈に巨細胞を伴う肉芽腫を形成する動脈炎である。大動脈とその主要分枝、特に外頚動
脈を高い頻度で傷害する。しばしば側頭動脈を傷害する。このため、以前は「側頭動脈炎」と呼ばれていた
が、現在は「巨細胞性動脈炎」とその名称が変更された。50 歳以上の高齢者に発症し、若年者に発症する
高安動脈炎と対照的である。男女比はほぼ1:2~3である。
しばしばリウマチ性多発筋痛症を伴い、後述するように両者は極めて近似した疾患と考えられている。地
理的な偏り及び遺伝素因が認められ、欧米白人に多く、日本を含めアジア人には少ない。
2.原因
原因は不明だが、ウイルスなど微生物感染などの環境因子の存在が疑われ、遺伝要因として HLA-DR*
04 遺伝子との相関が報告されている。
3.症状
約3分の2の症例で側頭部の頭痛を認める。下顎跛行は約半数の症例で認める特徴的な自覚症状であ
る。血管炎による血流低下・消失による虚血性視神経症のため、発症初期に視力・視野異常を呈し、約
20%が視力の完全又は部分性の消失を来す。患者の 40%にリウマチ性多発性筋痛症を認め、リウマチ性
多発性筋痛症の約 15%は巨細胞性動脈炎を合併する。全身症状として発熱(多くの場合は微熱、ときに弛
張熱)、倦怠感を約 40%の患者で認める。咳嗽、咽頭痛、嗄声などの呼吸器・耳鼻科領域の症状、末梢神
経障害を認める。一過性虚血発作、脳梗塞などの神経症状は約 15%に出現する。まれに舌梗塞や聴力・
前庭障害など耳鼻咽喉科領域の症状も認められる。
大動脈とその分枝部の病変は 20%に認められる。大動脈瘤は胸部・腹部に起こる。発症初期に 15%認
めるが、ゆっくりと増大し、3~5年以上経てから発見される。巨細胞性動脈炎における胸部及び腹部動脈
瘤は健常者のそれぞれ 17 倍、2.5 倍多いと報告されている。
画像診断上、約 42%の患者に鎖骨下動脈や腋窩動脈の狭窄を認めるが、多くは無症状である。また、
下肢では、約 37%に浅大腿動脈、腸骨動脈、膝窩動脈に病変を認める。多く両側性であり、女性に多く
(84%)、側頭動脈炎の症状は 42%と少ない。また、側頭部症状を有する症例と比べより平均6歳若い。巨
細胞性動脈炎を疑う場合には、四肢・頸動脈の拍動を触診すること、血管雑音を聴取することが重要であ
る。
4.治療法
プレドニゾロン治療を開始する。失明の恐れがある場合には、ステロイドパルス療法を含むステロイド大
量療法を行う。経口ステロイドは4週間の初期治療の後に漸減する。副腎皮質ステロイド維持量を必要とす
る症例が多く、漸減は更に慎重に行う。ステロイド抵抗性の症例、ステロイドの漸減に伴い再燃する症例に
おいては、メトトレキサート(MTX)を中心とした免疫抑制薬の併用を検討する。失明や脳梗塞を予防するた