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提案書14(2601頁~2800頁) (89 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

K598、K598-2、K599、K599-2、K599-3、K599-4

医療技術名

「両心室ペースメーカー移植術」「両心室ペースメーカー交換術」
「植込型除細動器移植術」「植込型除細動器交換術」
「両心室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術」「両心室ペーシング機能付き植込型除細動器交換術」

③再評価の根
拠・有効性

【外科症例数による施設基準に関して】
日本不整脈心電学会の主導により実施しているICDやCRTDの全国施設からのレジストリ研究であるJCDTRには2010年から2017年までに計15,369症例
が登録されている。この研究における手術手技時の合併症発生頻度は2.2%、心タンポナーデ発生率0.28%であったが、緊急的な外科介入が必要
であった症例は1例(0.007%)のみ(上大静脈穿孔)であり、その他、Nippon Storm研究(1,274名登録)では、合併症頻度は1.3%であったが、
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 緊急的な外科介入が必要な症例は皆無であった。
【心臓電気生理検査件数による施設基準に関して】
後等のアウトカム
同じく日本不整脈心電学会が主導し実施しているレジストリ研究JCDTR(一次予防)、JID-CAD(虚血性心疾患の一次予防・二次予防)、Nippon
Storm(器質的心疾患の一次予防・二次予防)のデータにおいて、それぞれ心臓電気生理検査による誘発性と除細動器の適切・不適切作動におけ
る予後を検討したが、いずれも誘発性と予後に関連は認められず、今回申請の手技に対しての心臓電気生理検査症例数の基準を設けることの必要
性は乏しいと考えられる。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

2022年改訂版不整脈の診断とリスク評価に関するガイドラインにおいて、我が国での
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
ICD/CRT-Dの適応となることが多い特発性の拡張型心筋症では,心臓電気生理検査 でVT/VF
る。)
が誘発される率は低く,有用性は低いと記載されている。

今回提案の医療技術の普及性(症例数の傾向)に大きな変化はなく(日本全国のICD・CRTD・CRTの件数もここ数年大きな変化なし)、医師の人数
の規定や「学会の定める指針を遵守していること」という規定のため、これまで同手技を安全に行われてきた施設でこれまでと同じ体制で実施さ
れるものと考えられる。一方、施設基準を維持する目的で実施される他の手術や心臓電気生理検査が減少することが期待される。
(※根拠)ICDやCRTDは、これまでも治療技術や移植術後の管理の重要性から、不整脈あるいは心不全を専門とする医師が所属する施設で実施さ
れてきており、今後も上記に記する規定の設定により、これらの医療技術が専門性の乏しい施設に広がる可能性は低い。

見直し前の症例数(人)

約11,990人(2022年におけるICD・CRTD・CRTPの植込術・交換術の合計、日本不整脈デバイス工業会〈JADIA〉調べ)

見直し後の症例数(人)

同上

見直し前の回数(回)

約11,990回(2022年におけるICD・CRTD・CRTPの植込術・交換術の合計、日本不整脈デバイス工業会〈JADIA〉調べ)

見直し後の回数(回)

同上

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

ICD(CRTD含む)は、不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)に突然死の可能性がある多くの疾患に対して推奨クラスI・エビデンスレベ
ルAで認められており、CRT治療もQRS幅の120ms以上の低左心機能患者に対して推奨クラスI・エビデンスレベルAとされているなど、既にその効果
が明らかな成熟した医療技術と考えられる。治療(植込もしくは交換)手技はそのほとんどが経静脈的リード挿入および皮下ポケット作成により
行われ、一定の習熟度が必要であり、かつ、機器設定や管理に知識が求められ、これは学会が認定のために実施する研修セミナー受講を通じて養
われる。

(見直し後)
(1)循環器内科又は小児循環器内科及び心臓血管外科を標榜している病院であること。
(2)心臓電気生理検査を常時実施していること。なお、年間5例以上の心室性頻拍性不整脈症例が含まれるものとする。
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 (3)1.新規ペースメーカー移植術を年間10症例以上実施していること。
2.開心術又は、冠動脈、大動脈バイパス移植術に関わる緊急手術が実施可能な体制を有すること。ただし、緊急手術が可能な保険医療機関
制等)
との連携*により緊急事態に対応するため体制が整備されている場合はこの限りでない。
*文書による契約が締結および提出がなされている場合に限る。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

見直し後)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 (4)常勤の循環器内科又は小児循環器内科及び心臓血管外科の医師が併せて4名以上配置されており、そのうち2名以上は所定の研修*を終了してい
ること.
性や経験年数等)

(見直し後)
(5)日本不整脈心電学会の定める指針を遵守していること。
※指針は以下を規定する
日本不整脈心電学会の定める指針を遵守していることについて、日本不整脈心電学会は以下のように定める。
1)New-JCDTRへの登録、および経過報告を行っていること。
その他
2)日本不整脈心電学会認定不整脈専門医あるいはこれに準じた経験*を有する常勤医師が少なくとも1名以上配置されていること。
(遵守すべきガイドライン等その他の *これに準じた経験の判断は、学会で審査する.不整脈専門医資格申請に必要とされる症例の臨床経験を有し、かつ、デバイス手術経験(ペース
要件)
メーカー、ICD、CRTのそれぞれ含む、ICMは含まない)が術者として100例以上あること(2024年までの措置である).
3) 合併症が多い施設、登録症例数が少ない施設に対し学会は審査を行った上で、再度の所定の研修**を受けるよう勧告する。勧告を受けた施設
の履修証取得者は速やかに所定の研修を受け再取得すること。
**所定の研修:日本不整脈心電学会あるいは日本心不全学会が行うICD/CRT合同研修セミナー。
本指針は、必要に応じて日本不整脈心電学会植込み型デバイス委員会・医療安全委員会・チーム医療委員会が合同で見直しを行う。

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

上記③に記載の通り、日本における今回申請手技の合併症発生頻度は1-2%と考えられるが、このうち緊急外科介入が必要な合併症発生頻度は極
めて少ない(JCDTRにおいて0.007%)

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

今回改正を申請する施設基準の主たる点である1)開心術等の外科手技症例数の必要性、2)電気生理学的検査件数の必要性はその科学的根拠に乏
しく、むしろ、他の医療技術の進歩によりこれまで適正に実施してきた医療機関において実施できなくなり、遠方の医療機関での実施が必要にな
る。あるいは、施設基準確保のための必要性の乏しい手技の増加が懸念されるなどの社会的な問題点が大きいと考えられる。一方で、デバイス植
え込みの適応判断や合併症に対する適切な管理は必要なため、新たに術者基準(専門医やデバイス植込み手術経験、等)のみならず植込み患者の
登録を行うことで短期・長期合併症の管理が可能となるよう施設基準に組み入れた。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

特になし
特になし
特になし

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

特になし

区分をリストから選択

番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし
不変(0)

プラスマイナス
⑩予想影響額

予想影響額(円)

特になし

その根拠

上記④の普及性の変化に記載の通り

備考

なお、要件を満たす目的での必要性の乏しい外科手技や検査の減少があれば、医療費全体の抑制に貢献するものと考えられる。

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