よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


提案書14(2601頁~2800頁) (92 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

ICD/CRT植込み施設基準の見直し【手術(その他)】
【現在の施設基準】
(1)循環器内科又は小児循環器内科及び心臓血管外科を標榜している病院であること。

【技術の概要や対象疾患】

(2)心臓電気生理学的検査又は体外式ペースメーカーを用いた循環器集中管理を年間 50 例以
上実施していること。なお、このうち5例以上は致死性不整脈(心室性頻拍性不整脈症例又
は開心術術後不整脈)に対するものであること。

・これらの技術はペースメーカー型の機器により、致死性不整脈に対する自動的治療や難治性心不全症例にお
ける左室壁運動の同期性維持のためのペーシング治療を行うものである。国内外のガイドラインにおいて各
種疾患に対する治療技術として推奨クラスI・エビデンスレベルAとされている。
(3)開心術、冠動脈又は大動脈バイパス移植術を合わせて年間 30 例以上実施しており、かつ、
経静脈電極によるペースメーカー移植術を年間 10 例以上又は心筋電極によるペース
メ ーカー移植術を3年間に3例以上実施していること。
(4)常勤の循環器内科又は小児循環器内科及び心臓血管外科の医師がそれぞれ2名以上配置
さ れており、そのうち2名以上は、所定の研修を修了していること。
(5)当該手術を行うために必要な次に掲げる検査などが、当該保険医療機関内で常時実施で
きるよう、必要な機器を備えていること。ア 血液学的検査 イ 生化学的検査 ウ
画像診断

(6) 定期的に循環器内科又は小児循環器内科の医師と心臓血管外科の医師が参加する、重症
心不全患者又は不整脈患者の治療方針を決定するカンファレンスが開催されていること。

【再評価申請の背景と目的】

・これらの手技を行う施設基準として、開心術等実施が年間30例以上、心臓電気生理学的検査実施年間50例以
上という項目が設けられているが、日本不整脈心電学会の主導で実施されているRegistry研究においても緊急
外科手術が必要であった症例は0.007%とまれであり、心臓電気生理学的検査での不整脈誘発性と予後の関連
性も認められないデータが蓄積され、これらの症例数基準の意義は乏しいばかりか、無駄な診療行為に繋が
る可能性も危惧される。よって、基準の改定を要望する。

追加のエビデンス

(ガイドライン等での記載あり)

【施設基準(改定案)】
(1)循環器内科又は小児循環器内科及び心臓血管外科を標榜している病院であ
ること。

「EPS50症例数の科学的根拠がないこと」


(2)心臓電気生理検査を常時実施していること。なお、年間5例以上の心室性
頻拍性不整脈症例が含まれるものとする。
(3) 1. 新規ペースメーカ移植術を年間10症例以上実施していること。 2.開心
術又は、冠動脈、大動脈バイパス移植術に関わる緊急手術が実施可能な体
制を有すること。 ただし、緊急手術が可能な保険医療機関との連携*によ
り緊急事態に対応するため体制が整備されている場合はこの限りでない。
*文書による契約が締結および提出がなされている場合に限る。
(4)常勤の循環器内科又は小児循環器内科及び心臓血管外科の医師が併せて4
名以上配置されており、そのうち2名以上は所定の研修++を終了している
こと。
++所定の研修:日本不整脈心電学会あるいは日本心不全学会が行う
ICD/CRT合同研修セミナーの履修証取得
(5)日本不整脈心電学会の定める指針を遵守していること。



一次予防で植込みを行った日本のICDおよびCRT-D患者の予後および作動を検討した最新の前向きコ
ホート研究(HINODE)では心臓電気生理検査で致死性不整脈が誘発された群と、心臓電気生理検査が
行われていないか致死性不整脈が誘発されなかった群では予後が変わらず、ICDの適応決定に心臓電
気生理検査が必ずしも必要ないと結論づけられている。
日本のICD植込みに関する最新のガイドラインでは、ICD植込みの基礎心疾患として非虚血性心疾患の
割合が多いと報告されている。ICDの適応を決定するための心臓電気生理検査による突然死のリスク
評価に関しては、非虚血性心疾患を基礎疾患とする場合は,信頼性が低いと記載されている。

「開心術30症例が必要である根拠がないこと」


日本不整脈心電学会が主導で行った虚血性心疾患患者でのICD/CRT植込み調査(JID-CAD)研究の合併
症報告では、気胸1; 血腫5; 麻酔のショック1; リード脱落 3; 皮膚壊死1、であり緊急で外科的修復を
行った症例はいなかった。
2692