よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


提案書21(4001頁~4203頁) (154 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

739101
真菌培養
日本臨床微生物学会

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

02呼吸器内科
07血液内科

関連する診療科(2つまで)
23皮膚科

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の

場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する


リストから選択

追加のエビデンスの有無

有無をリストから選択

提案される医療技術の概要
(200字以内)

検査材料をサブロー培地またはポテトデキロース培地,発色基質を利用したカンジダ鑑別培地などを使用し,酵母様真菌は
35~37℃で1~3日間,糸状菌は25~30℃で10~14日間の培養を行う.同定検査は,一部の酵母様真菌は発色基質培地による
目視,自動同定機器または簡易同定キット,質量分析装置により,糸状菌は巨大コロニー作成やスライド培養法を行い形態
的観察により同定する.

文字数: 183
対象疾患名

保険収載が必要な理由
(300字以内)

真菌症または真菌症を疑う患者

真菌は医療進歩に伴い免疫機能が低下した患者における重要な起炎病原体である.真菌培養は専用の培地と温度管理,一般
細菌に比べて長期の培養を実施し,染色や同定検査も専用試薬が用いられている.特に糸状菌の菌種同定は,臨床検査技師
の知識と技術が要求される分野である.しかしながら、一般細菌の培養検査内の経費から持ち出して賄われているのが現状
である.真菌感染症の治療には抗真菌薬投与が必要であり,特に深在性真菌症においては死亡率が高い疾患であるため,検
査室での正確な真菌の同定培養検査は患者の予後改善に繋がる重要な検査である.そのため,適切な真菌検査を実施運用し
ていくためには,新規の保険収載が必要と考えられる.

文字数: 300
【評価項目】

①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

真菌は医療進歩に伴い免疫機能が低下した患者や悪性腫瘍,移植に伴い易感染患者における重要な感染症起炎病原体であ
る.真菌には,カンジダやクリプトコッカスなどの酵母様真菌とアスペルギルスやムーコルなどの糸状菌がある.カンジダ
症は,主に口腔内カンジダ症,カンジダ食道炎,膣炎,腹膜炎,敗血症(以下カンジダ血症),眼内炎などを起こす.カン
ジダは血流感染症の原因菌の4~5%を占めるとされており,特にカテーテル関連血流感染症では主要な原因菌の一つとして
重要な菌種となっている. クリプトコッカス症は,主に肺や皮膚,さらに感染が拡がると播種性クリプトコッカス症として
脳,筋肉,髄液,血液など無菌的材料から分離される.播種性クリプトコッカス症は感染症法第5類に分類され,分離・同
定された場合は届け出が必要とされる重要な菌である.感染症法では,「免疫不全でない患者では,中枢神経系の病変で
は、痙攣、意識障害などの重篤な症状がみられる症例から,発熱、頭痛等の典型的な脳髄膜炎症状を欠く症例まで様々であ
る。中枢神経系の腫瘤性病変としてみられる場合は,腫瘍との鑑別が必要となる」とされている.糸状菌の大半を占めるア
スペルギルスは,土壌や大気中に広く分布する環境常在菌のため,吸い込むことで発症する.多くが肺感染症を発症し,気
管支鏡を用いた無菌的な検体から分離された場合は確定診断に有用であり,喀痰から分離された場合は臨床症状などと併せ
て診断される.アスペルギルス症は慢性アスペルギルス症と好中球減少患者に発症する侵襲性アスペルギルス症に大別され
る.侵襲性アスペルギルス症は,臨床経過は急速に進展し呼吸不全に陥るなど重篤な疾患である.この他にも、4類感染症
に指定されている致死率の高いコクシジオイデス症や,抗真菌薬による治療が困難な難治性のムーコル症など,重要な菌種
による真菌感染症が知られている.

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

検査材料を真菌専用の培地に塗布し,適正な温度管理下で一定期間培養し,発育したコロニーを用いて同定検査を実施す
る.分離培養検査において,使用する培地は真菌専用培地であり,非選択培地としてサブロー寒天培地またはポテトデキ
ロース寒天培地,選択培地としてカンジダ用鑑別培地,カンジダGS,抗菌薬含有サブロー培地などでの培養が実施されてい
る.培養温度および日数は,酵母様真菌は35~37℃で1~3日間,糸状菌は25~30℃で10~14日間(必要に応じて1~2か月
間)とされている.同定検査は,発育したコロニーを用いて実施される.酵母様真菌は発色基質による目視,生化学検査に
よる自動同定機器または簡易同定キットを用いた同定を行う.糸状菌は発育コロニーの肉眼的および顕微鏡的形態学観察か
ら同定を行う.ジャイアントコロニー(巨大培養)法により,サブロー寒天培地またはポテトデキロース寒天培地の中央に
菌を接種し培養を行い,1個の大きなコロニーを作成し,肉眼的観察を行う.顕微鏡的観察は,そのコロニーを用いて,顕
微鏡的観察を行う.簡易のセロハンテープを用いた方法とスライド培養法がある.セロハンテープを用いた方法は,スライ
ドグラスにラクトフェノールコットンブルー染色液を置き,その上にセロハンテープに付着させた発育コロニーを載せて顕
微鏡で形態を確認し同定を行う.スライド培養法は,様々な方法があるが,スライドガラスの上に1cm角に切ったサブロー
培地を載せ,側面に糸状菌を接種し,その上にカバーガラスを載せ,培養を行う.コロニー発育後にカバーガラスを外し,
ラクトフェノールコットンブルー染色で染色し顕微鏡で形態を確認する.近年では,質量分析装置での同定も可能である.
ただし,糸状菌は同定するまでの前処理が必要であり,時間と手間を要する.サブローブイヨンに糸状菌を接種しローテー
ターで培養し,発育した菌体をエタノールギ酸抽出した産物を同定に用いる.ただし,データベースが少なく,形態学的確
認と合わせて総合判断が必要とされている.

4154