参考資料6 令和4年度厚生労働科学特別研究事業「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従 事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」(研究代表者:坂巻弘之) (163 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35103.html |
出典情報 | 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 供給情報ワーキンググループ(第1回 9/7)《厚生労働省》 |
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であり、2021 年の支出額は 7,280 億ドル 16)で総
(2) 民間医療保険の特徴と運営組織 1)、4)、21)
医療費の 17%を占めている。メディケイドとメディケ
2021 年のデータによると、約 1 億 5,500 万人 22)
アの両方に該当する受給者(Dual Eligible)は約
が雇用主提供型(Employer-Sponsored)医療保険で
1,200 万人でメディケイド受給者の 15%以上を占め
カバーされている。民間で加入する保険には、プラ
る 17)。メディケイドは、低所得者に対する処方薬剤
チナ、ゴールド、シルバー、ブロンズという 4 段階の
給付を含み、保険料に応じて、カバーされる薬剤、
グレードが存在する 23)。保険料や給付内容は個々
処方回数制限などを設定している。メディケイド薬
の保険プランによって異なるが、出来高払いのみの
剤費支出の最低 50%は連邦政府が拠出している。
プランは少なく、出来高払いと定額払いの組み合わ
そこで、連邦政府は、薬剤費支出の抑制策として、
せが一般的である。米国の民間医療保険を大別す
ある先発医薬品に 2 社以上のメーカーによるジェネ
ると、i)従来型(Conventional Insurance)、ii)マネジ
リック医薬品が存在する場合、それら薬剤(先発・ジ
ドケア型(管理型: HMO:Health Maintenance
ェネリック医薬品双方)に対して連邦政府からの薬
Organization, PPO:Preferred Provider Organization,
剤償還上限額(FULs: Federal Upper Limit)を設定
POS:Point of Service など)、iii)消費者主導型
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している 。一方、州の薬事及び治療に関する委員
(HDHP/SO:High Deductible Health Plans with
会(P&T Committee:Pharmacy and Therapeutics
Saving Option など)になる。2021 年のデータによれ
Committee)は、推奨医薬品リスト(PDL:Preferred
ば、最も一般的なプランである PPO(Preferred
Drug List)と呼ばれるフォーミュラリーを作成してい
Provider Organization)が 46%を占めており、消費
る。州政府は法的に義務付けた「事前審査」を適宜
者主導型の貯蓄オプション付き高免責プラン
実施し、推奨医薬品リスト(PDL)の遵守率の向上を
HDHP/SO(High Deductible Health Plans with
図っている。推奨医薬品リスト(PDL)に収載された
Saving Option)が 28%を、HMO(Health
医薬品については、医師や薬剤師が事前審査なし
Maintenance Organization)が 16%を占めている。こ
で処方・調剤できるが、非収載品については 24 時
れらの割合は、それぞれ昨年の対応するプランタイ
間体制で処方時もしくは調剤時に審査を受けるよう
プの割合とほぼ同じである 22)。
定めている。
① 従来型(Conventional Insurance)
メディケイドの給付対象として医薬品の保険収載
Conventional(従来型医療保険)はサービス料金
を希望する製薬企業は、販売実績の一部をリベート
プラン(FFS:Fee-For-Service)を基本とし、加入者は
として州政府に払い戻す契約を結び(メディケイドリ
医師、医療機関、処方薬剤の交付を受ける薬局な
19)
ベート) 、得られたリベートは連邦政府と州政府に
どを自由に選択できる。免責は低いが、他の保険プ
分配される。それにより、保険償還価格と市場実勢
ランに比べて保険料が高いのが特徴である。医療
価格との格差を是正している。その他、薬局や製薬
保険料の伸び率が依然高いこともあり、年々加入者
企業に対しては、①追加的リベート(連邦政府によ
は減少している。
るメディケイドリベートとは別に州独自に定めたプロ
② マネジドケア型(管理型:Managed Care)
グラム)の要求、②調剤料及び償還額算定方法の
保険者と加入者間で利用可能な医療サービスの
見直し、③州による薬剤の一括購入などを図り、薬
内容とその費用負担について事前に取り決めてお
剤費支出の削減に努めている。また、2010 年以
くプランで、保険者には非営利法人と民間保険会
降、製薬企業に対して強制リベートとは別に先発医
社がある。様々なプランがあるが、基本的には保険
薬品を対象とした税金(ブランドドラッグフィー)20)を
者が医療内容に介入し、医療サービスについて管
課している。
理・制限することで、診療内容とコスト双方を管理す
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