参考資料6 令和4年度厚生労働科学特別研究事業「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従 事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」(研究代表者:坂巻弘之) (205 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35103.html |
出典情報 | 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 供給情報ワーキンググループ(第1回 9/7)《厚生労働省》 |
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それらの制度では参照価格が適用されない医薬品
け価格を決めることができる。顧客獲得競争は、アド
グループ(主として新薬)の価格をコントロールする
バイスの質の高さを競うだけでなく、価格の安さを競
ことは難しく、それが薬剤費支出全体の伸びに大き
うものでもある。頭痛薬のように、ある有効成分が複
く寄与してきたことを踏まえ、2011 年に施行された
数のメーカーから提供されている場合、低価格に価
医薬品市場再編法(AMNOG)に基づく新薬の早期
値がある。
有用性評価が開始された。
生活改善薬は、一般に法定健康保険(GKV)で
なお、後述の医薬品供給強化法(AM-VSG:
は支払われない。例えば、勃起不全薬、食欲抑制
Arzneimittel-Versorgungsstärkungsgesetz)により、病
剤、体重調整薬、育毛剤などである。
院や民間医療保険に対する価格も薬局向けの法定
健康保険(GKV)における価格の上限規制が適用
5. 価格設定(外来)7)
ドイツにおける医薬品の承認から上市(保険償
されることとなった。
還)までの流れを簡単に整理すると、欧州医薬品庁
(EMA:European Medicines Agency)で医薬品として
(1) 設定方法、改定方法:先発、ジェネリック別 7
前述の通り、処方箋医薬品の販売価格は、製薬
承認されたのち、国内のいくつかの条件を満たすと
企業の判断に基づき設定される自由価格が基準で
販売が開始される。1 つ目の要件は、医薬品中央
あり、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格決定
番号の申請であり、それによって、薬価基準(Lauer-
方法に違いはない。
Taxe) に収載される。2 つ目の要件は、承認された
しかし、医薬品市場再編法(AMNOG)の施行に
医薬品の梱包パッケージの大きさが、ドイツのパッ
より、新薬については、発売から一定期間経過後
ケージの大きさに関するルールに則っていることで
は、有用性評価の結果を踏まえて企業と公的医療
ある。また、医薬品市場再編法(AMNOG:
保険中央連合会(GKV-Spitzenverband)との交渉に
Arzneimittelmarktneuordnungsgesetz) に基づく早期
おいて合意された価格が償還価格となることから、メ
有用性評価に必要な資料が連邦合同委員会(G-
ーカー出荷価格にも影響が及ぶことになる。また、
BA)に提出されている必要がある(ドイツでは市場
既存薬と類似した医薬品については、参照価格制
参入を行うと同時に、連邦合同委員会(G-BA)にお
度を適用し、有効性、作用機序、薬効等の観点から
ける有用性評価が始まる)。すべての条件がそろ
グループ化し、各グループに対する償還価格の上
い、何の障害もなく進んだ場合、EU の承認から最
限を定めている。
短で 2 週間で販売が可能となる。
に基づき設定される自由価格(メーカー出荷価格)
① 医薬品市場再編法(AMNOG)に基づく早期
有用性評価
2011 年 1 月に、ドイツ医療保障制度における薬
が基準となる 8。また、疾病金庫による償還の対象と
剤関連支出の持続的な伸びを抑制することを趣旨
なる薬剤費は、基本的にはこのメーカー出荷価格
とする医薬品市場再編法(AMNOG)が施行され
に薬局及び卸売業者のマージン並びに付加価値
た。本法律に基づく「医薬品の早期有用性評価制
税(VAT:Value Added Tax)を加えた薬局販売価格
度」の導入により、従来、原則として製薬企業の判
に相当する額とされている。一方、国民の 9 割近く
断に基づき設定される自由価格で販売され保険償
が加入する法定健康保険(GKV)の下で使用される
還されてきた新薬について、上市後の早期の段階
という背景から、参照価格制度や代替調剤法など、
から、有用性評価結果を踏まえて企業と公的医療
主としてジェネリック医薬品が供給可能な市場にお
保険中央連合会(GKV-Spitzenverband)との交渉に
ける薬剤費支出の抑制策がとられてきた。しかし、
おいて合意された価格が保険償還価格となるという
処方箋医薬品の販売価格は、製薬企業の判断
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