参考資料6 令和4年度厚生労働科学特別研究事業「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従 事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」(研究代表者:坂巻弘之) (166 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35103.html |
出典情報 | 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 供給情報ワーキンググループ(第1回 9/7)《厚生労働省》 |
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場合、当該医薬品はフォーミュラリーに収載されな
開発のための原資確保の可否という 4 つの要因に
い。同様に、適用が追加された場合にも企業と保険
よって決定される。具体的には、①患者のアンメット
者が交渉し、当該追加適用に関するフォーミュラリ
ニーズを満たすものであること。つまり、従来存在し
ー収載の可否及び償還額が決まる。上市当初は最
なかったベネフィットを患者にもたらすものであるこ
も高い価格で保険償還されるが、契約交渉の結
と。②トータルヘルスケアコスト節減への貢献度。
果、フォーミュラリーへの収載やリベート、メディケア
Harvoni™や Entresto™などがその好例。③既存薬
パート C の薬物階層(Tier)が決まり、薬事及び治療
に比べて新薬の付加価値はどの程度あるか。④
に関する委員会(P&T Committee)の評価に基づき
FDA は製薬企業に対し治験の精度を高めるよう(期
償還価格が引き下げられる。
間の延長、サブポピュレーションによる詳細な検討)
メディケアの場合、企業にとってはフォーミュラリ
要請しており、それに対応するための原資を確保で
ー収載の機会は年 2 回ある。なお、保険の種類に
きるか否かは重要なポイントである。
よるが、基本的に年に一度、フォーミュラリーの改定
薬剤の価格交渉については、市場投入の 2 年前
が行われる。その他、薬剤の効能や適応追加や、
から上市後にかけて臨床的価値、経済的価値に関
類似の医薬品の価格変更などが発生した場合に
する市場調査を開始しデータを継続的に蓄積して
は、事項に応じて適時(たとえば四半期ごと)に再交
おきタイムリーに提出できるように準備しておく。上
渉の機会がある。
市 9 ヶ月~3 ヶ月前には、PIE (Pre-approval
Information Exchange)の場を設定する。PIE (Pre-
イ. ジェネリック医薬品価格決定のプロセス・ルール
approval Information Exchange)では、製薬企業
ジェネリック医薬品の価格は、自由競争市場の
下、対照薬(既に上市されている先発医薬品)の価
側、保険者側双方から、メディカルディレクター(医
格に基づいて決定される。オーソライズドジェネリッ
師)を含む 3~4 名ずつ参加し、専ら専門的観点か
クしか市場にない期間中は、概ね先発薬の価格か
ら臨床的、経済的インパクトについて議論する。PIE
ら 15~20%割り引かれた価格帯になるが、独占期
(Pre-approval Information Exchange)の場では契約
間が切れると価格は大幅に下がる。薬剤によって異
条件やリベートに関する交渉は行わないが、議論の
なるが、第 6 番目のジェネリック医薬品が市場に参
内容は上市時のリストプライス(WAC)の設定に影響
入するときには先発薬の 90%割引の価格水準にな
を与える。また、上市 6 ヶ月~3 ヶ月前までには、予
っているのが一般的である。
想されるディスカウントやフォーミュラリー上のポジシ
ョニングを含めた契約戦略を決定する。
(4) 薬局購入価格 1)
薬剤給付にかかる保険者(主に民間の薬剤給付
公的医療保険(メディケアパート D)では、毎年 6
管理事業者(PBM:Pharmacy Benefit Manager)から
月 1 日に翌年のフォーミュラリーを提出する必要が
薬局への一般的な償還ルールは、AWP(Average
あるため、遅くとも 5 月には価格交渉を終えておく
Wholesale Price:後述)に対して 16%ディスカウント
必要がある。民間医療保険では多少柔軟性や猶予
された薬剤コストにディスペンシング(調剤)フィー
があるものの、例年夏頃から価格交渉を始めて 10
(約 1.5 ドル/処方箋)を加えた料金が適用される
月には決定する。契約様式や契約価格は保険者に
が、薬局における実際の収益構造を反映していな
よって異なるため、価格交渉が決裂した場合の共通
した対応手段やシステムは存在しない。また、フォ
い。薬剤費の償還は AWP(Average Wholesale
ーミュラリーの網羅性について義務づけている法令
Price)に基づいて設定されていることから、薬局で
などは特になく、企業と保険者間の交渉が決裂した
の医薬品実購入価格(AAC:Actual Acquisition
Cost:後述)との乖離があるとの前提で調剤費がか
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