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参考資料6 令和4年度厚生労働科学特別研究事業「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従 事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」(研究代表者:坂巻弘之) (171 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35103.html
出典情報 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 供給情報ワーキンググループ(第1回 9/7)《厚生労働省》
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直接交渉して価格やリベートを決定し、その価格に

入価格(AAC)を調査することによって償還価格を

基づいて、最終的な受給者負担が設定される。従

得ることも可能であるが、全米の NADAC(National

って、政府はあらゆる価格交渉に直接関与していな

Average Drug Acquisition Cost)を活用、あるいは平

い。その理由は、メディケア近代化法(MMA:

均卸売購入価格(AMP)をベースに使用することも

Medicare Modernization Act)においてパート D の

可能である。

給付に言及している規定(Medicare Prescription
Drug, Improvement, and Modernization Act of 2003,

② 薬剤償還上限額(FULs)の設定

H.R.1,Public Law 108-173, Sec.1860D-11(i)

連邦政府が拠出するメディケイドコストを下げるた

“NON- INTERFERENCE”“clause)46)の中に、①政

めに、2005 年 2 月に財政赤字削減法(DRA:

府が直接製薬企業と価格交渉を行う、②民間保険

Deficit Reduction Act)が制定された。その中で、ジ
ェネリック医薬品が存在する薬剤の薬剤償還上限

会社と製薬企業の間の価格交渉に関与する、③保
険会社のフォーミュラリー構築に関与する、などの

額(FULs)の算定に使用する価格基準を AWP

行為をよしとしない、あるいはそれを禁止する文言

(Average Wholesale Price)とした。米国内において
販売されているマルチプルソースの医薬品(ジェネ

が明記されているからである。

リック医薬品が存在する先発医薬品及びジェネリッ
パート D の総合的な評価は高い。加入者の満足

ク医薬品)に対する薬剤償還上限額(FULs)の設定

度は高く、政策としては成功しているとの認識が一

方法は、治療上同等と評価された各薬剤の処方量

般的である。しかし、いくつかの問題点が指摘され

に基づく加重平均卸売購入価格(AMP)の 175%

ており、主な論点は、カバレッジ・ギャップ「いわゆる

45)

に統一されている。

ドーナッツホール」の存在と医薬品の価格水準であ
➂ メディケイドリベート(強制リベート)19)

る。保険会社が製薬企業から得ているリベートは、

メディケイドリベートは、1990 年に制定された予算

一部「保険料の引下げ」という形で加入者へ還元さ
れるが、薬剤自体の価格は変わらないため、ドーナ

調整法(OBRA’90:The Omnibus Reconciliation Act

ッツホール(免責枠)に入っている加入者は、高い

of 1990)によって創設された。当時の議会は、メディ
ケイドは最も経済的に恵まれない人のための救済

薬剤を全額自費で購入しなければならない。その

策であることから、最低価格(BP)を獲得する必要が

購入額は製薬企業へ入り、その一部がリベートとし

あるとの認識で一致した。そこで、最低価格(BP)を

て保険会社に還元される。つまり、より重症な高齢

獲得する手段として、連邦政府は、薬剤償還上限

患者が、軽症あるいは健常な加入者の保険料を一

額(FULs)を闇雲に下げるのではなく、リベートを採

部「肩代わり」するような構図になっているとの指摘

用することを決定した。その主な理由は 2 つある。1

がある。

つは、各州政府が有する、保険償還価格を設定で
(3) メディケイド

きる自由権(柔軟性)を維持・尊重するため(本来、

① 州政府による薬剤償還価格の設定

メディケイドの運営は州政府の役目、つまりビジネス

前述の通り、メディケイドにおける薬剤給付は、医

であるという伝統があるため)、もう 1 つは、メディケ

薬品の償還価格である薬剤料(Ingredient Cost)及

イド受給者の薬剤負担の一部を製薬企業が負って

び調剤料(Dispensing Fees)から構成されている。メ

いることを明確化するためである。

ディケイド薬剤の価格について、小売薬局で調剤さ

メディケイドの給付対象として医薬品の保険収載

れた薬剤については医薬品実購入価格(AAC)に

を希望する製薬企業は、販売実績の一部をリベート

基づいて薬剤を償還しなければならないことが

として政府に払い戻す契約を結ぶことが義務づけら

2017 年 7 月 1 日に決定した。州独自で医薬品実購

れている。

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