参考資料6 令和4年度厚生労働科学特別研究事業「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従 事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」(研究代表者:坂巻弘之) (211 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35103.html |
出典情報 | 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 供給情報ワーキンググループ(第1回 9/7)《厚生労働省》 |
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の 頻 度 で 更 新 さ れ る 。医薬品市場再編法
るローテリスト(Rote Liste)13)は、ローテリストサービ
(AMNOG)に お け る 企 業 と公的医療保険中央
ス社(Rote Liste Service GmbH)により年 1 回発行さ
連合会(GKV-Spitzenverband)間の価格交渉後の
れているが(毎年 1 月 1 日のデータに基づき 3 月に
合意価格についても、Lauer-Taxe により確認するこ
発行)、企業が掲載される行数に応じて費用を負担
とができる。社会法典第 5 編(SGB V:
する仕組みであるため、網羅性がない。また、掲載
Sozialgesetzbuch V 第 31 条)16)により情報の登録が
されている価格は、メーカー出荷価格に基づき算出
義務化されている医薬品は、疾病金庫による償還
される消費税込みの「薬局販売価格」である。なお、
対象となる医薬品、すなわち薬局で取り扱われる保
医療関係者向けの Rote Liste Online では、企業と
険償還対象医薬品に限られているが、これ以外の
公的医療保険中央連合会(GKV-Spitzenverband)と
医薬品等についても、製造業者等が自主的に情報
の交渉後の合意された価格を掲載している製品も
を登録していることが多いという。例えば、病院にお
ある。こうした価格情報は、医薬情報センター(IFA:
いて入院患者に対してのみ使用されるような医薬品
Informationsstelle für Arzneispezialitaten)から提供
についても、製造企業の判断により、病院仕入価格
される情報を基としている。
情報が医薬情報センター(IFA)に登録されることが
通常である。(なお、ドイツでは、病院における診療
医薬情報センター(IFA)14)は、連邦薬剤師連盟
報酬については診断群別分類 DRG(AR-DRG:
連合会(ABDA)、製薬工業連合会(BPI)、医薬品
Australian Refined Diagnosis Related Groups)により
卸業協会の共同出資により設立された機関であり、
包括化されている。)しかしながら、病院内で使用さ
個々の製品(包装単位)ごとに、医薬中央情報番号
れる医薬品の流通には通常卸業者は介在せず、
(PZN:Pharmazentralnummer)を付与するとともに、
個々の病院における実際の仕入価格は当該登録
供給者により提供される医薬品その他薬局で通常
価格から大きく値引きされるケースがあるなど、実際
取り扱われる商品に関する情報をデータベースに
の取引価格を正確には反映していない。
登録し、提供するという役割を担っている。医薬中
で重要となる番号である。価格情報については、製
(3) フォーミュラリー7)
開業医(保険医)の診療報酬が保険医協会から
薬企業から医薬情報センター(IFA)に出荷価格(=
支払われることを背景として、医師には経済的な処
卸売業者仕入価格)が報告され、卸売業者仕入価
方を行うことが求められている。ドイツにおいては州
格を基に薬局仕入価格及び薬局販売価格が機械
単位の保険医協会が、高脂血症治療剤等の多くの
的に計算され、価格情報として登録されることにな
患者に処方される薬剤について、優先的に処方す
る。
べき銘柄(後発医薬品)のリストを、標準的な薬物治
央情報番号(PZN)は、医薬品の流通、保険償還等
療の進め方のガイドラインを伴う形で作成している。
開業医や薬局では電算化が進んでおり、医薬情
関係者の話によると、多くの保険医協会は医師の処
報センター(IFA)からの提供情報を利用しやすいよ
方内容を審査しており、ジェネリック医薬品の処方
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うにソフトウェアに組み込んだ Lauer-Taxe と呼ばれ
割合が低いなど経済的な処方をしていないと思わ
る価格リストが汎用されている。この価格リストは、参
れる医師に対して指導を行っている。このような中、
照価格ライン、製薬会社と疾病金庫の割引契約の
医師がフォーミュラリーに則って処方することは、医
状況や自己負担の要否などをわかりやすく表示し
学的妥当性と経済性のある薬物治療を行っている
ているため、価格を検索して代替調剤を検討すると
ことの証明になるとのことである。病院においては、
きに実用的である。また、赤リスト(Rote Liste)と異な
診療報酬の構造が開業医とは異なることもあり、施
り、メーカー出荷価格の更新 に 合 わ せ て 月 2 回
設ごとにフォーミュラリーの作成が行われている。
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