参考資料6 令和4年度厚生労働科学特別研究事業「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従 事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」(研究代表者:坂巻弘之) (206 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35103.html |
出典情報 | 医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 供給情報ワーキンググループ(第1回 9/7)《厚生労働省》 |
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格をベースに(これを超えない範囲で)償還価格が
用効果分析等の医療経済評価ではなく、当該新薬
決定される。
に従来の療法(比較対照療法)と比べた「追加的な
一方、追加的な有用性があると判断された医薬
有用性」があるか否か、その大きさはどれくらいかの
品については、この後、当該企業と公的医療保険
評価である。本制度は、2011 月 1 月以後にドイツ国
中央連合会(GKV-Spitzenverband)との間で価格交
内において販売が開始される全ての新薬に対して
渉が行われる(6 ヶ月間)。ここで合意に至れば、当
適用される。これらの新薬については、その後に当
該価格が実質的な償還価格とされる。合意に至らな
該製品に追加効能が承認された場合や小児用量
かった場合は、仲裁委員会 が設置され調整が行わ
等が追加承認された場合にも、その都度この早期
れることになるが、最終的には他の欧州諸国での販
有用性評価制度が適用される。また、医薬品供給
売価格をベースとして価格が決定される(3 ヶ月
強化法(AM-VSG)により、既承認の古い有効成分
間)。なお、追加的な有用性があると判断されてもそ
であっても、新たなデータ独占期間を伴うような承認
の有用性が「小さい」場合は、法律上は参照価格グ
がなされた場合には、有用性評価の対象とすること
ループに組み入れられる可能性もある規定になっ
ができるようになった。
ているが、実際にはそのような事例はない。
② 早期有用性評価の手続き
早期有用性評価制度の下で、企業は、遅くとも新
仲裁委員会での決定後、なおこれに不 満がある
薬を上市するまでのタイミングで、連邦共同委員会
場合は、企業又は公的医療保険中央連合会(GKV
(G-BA)に対して早期有用性評価のため以下の情
-Spitzenverband)は、連邦共同委員会(G-BA) に対
報を含んだ資料を提出する。
して費用便益(コスト・ベネフィット)評価を要求する
・承認された適応症
ことができることとされている。費用便益評価が必要
・医療上の有用性
との判断になれば、企業は、連邦共同委員会(G-B
・適切な比較対照治療に比べた医療上の追加的
A)と協議の上で医療供給研究(当該薬剤の実地医
な有用性
療での使われ方と患者の QOL 等との関係を調査
・治療上の意義のある追加的な有用性が示され
するような疫学的研究)を計画・実施し(最長 3 年)、
る患者数及び患者群
その後の費用便益評価の材料とする。
・公的医療保険における治療コスト
これらの作業のタイムスケジュールは、上記に括
・資料の質
弧書きで記した通りである。追加的な有用性がない
そして、連邦共同委員会(G-BA)からの委託に基
と判断され、既存の参照価格グループに組み入れ
づき、医療の質と効率に関する研究所(IQWiG)に
られるケースでは、早ければ上市 6 ヶ月後にはこれ
おいて当該新薬の有用性評価が行われ(3 ヶ月
が適用されることになり、従来よりも早いタイミングと
間)、これを踏まえて、連邦共同委員会(G-BA)に
なる。追加的有用性があると判断された医 薬品に
おいて当該新薬の有用性に関する最終的な判断
ついては、企業は、公的医療保険中央連合会
が行われる(3 ヶ月間)。連邦共同委員会(G-BA)の
(GKV-Spitzenverband)との交渉によって価格が定
判断結果は、その都度公表される。追加的な有用
められるまでの間(最長上市後 1 年間)は、従来ど
性がないと判断された医薬品であって、適用できる
おり自らの判断で設定する自由価格で販売し、保
参照価格グループが既に存在するものは、当該参
険償還を受けることができる。しかし、仲裁手続きに
照価格グループに組み込まれる。有用性がないと
入った後は、仲裁期間中の販売価格と仲裁の結果
判断された医薬品であって参照価格グループがな
決定された価格とに差があれば、遡って疾病金庫
いものについては、比較し得る従来の治療法の価
に返還するというルールとなっている。
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