規制改革推進に関する答申(令和5年6月1日) (64 ページ)
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公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html |
出典情報 | 規制改革推進に関する答申(6/1)《内閣府》 |
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の負担を軽減する。次に、タスク・シフト/シェアによって、地域の医療関係職種
の偏在に対応する。最後に、個別の医療機関や介護施設等の生産性向上、処遇改善
を図る。そのための規制・制度改革が必要である。
まず、第一にデジタルヘルスの推進である。新型コロナウイルス感染症(以下「新
型コロナ」という。)は社会に大きな影響を与えたが、逆説的には、オンライン診療
等の有効性を証明し、普及させた面もある。こういった患者が必要な医療を、対面
であれオンラインであれ、現場で患者と医師等が相談して選択可能となるような環
境の整備を更に推進する必要がある。また、医療の質を上げ、創薬等を進めるため
にはリアルワールドデータ(RWD)など医療データの利活用は喫緊の課題である。
例えば、イスラエルは医療データの利活用によって2ヶ月でワクチンの効果を論文
化できた。一方で、我が国ではリアルワールドデータの活用例はいまだ乏しく、ド
ラッグラグの再燃も指摘されている。SaMD(Software as a Medical Device:
プログラム医療機器。医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるもの
をいう。)又はこれを記録した記録媒体たる医療機器をいう。以下同じ。)の開発も
諸外国に比べて大幅な遅れが指摘される。
第二に、医療分野におけるタスク・シフト/シェアの徹底を通じた、医療関係職
種の偏在への対応である。
在宅医療を利用している患者(多くは高齢者)は、複数の慢性疾患を有すること
も多い。このため、最適なタイミングで必要な医療が提供できないために患者に生
じるリスク・不利益を最小限にする必要がある。現実には、多職種間の「連携」の
みでは対応できないとの指摘も多く、医療関係職種が、それぞれ自らの能力や専門
性を踏まえつつも、各地域において、不足する専門職種のタスクを、充足する他の
専門職種が補うことで、患者の被る不利益を最小化でき、また、特定の機関や特定
の個人に負荷が集中することを回避することができるとの指摘がある。
第三に、生産年齢人口が急減していく中で、医療機関や介護施設等における生産
性の向上や働き方の多様性への配慮である。子育て、介護等でフルタイムでは働け
ない方も増加し、多様な働き方を求める声もある。人手不足によって勤務環境が悪
化し、それが更なる人手不足を呼ぶような悪循環を断ち切るため、ロボット等でも
対応可能なものはロボット等によることとするなどの合理的な運営を通じて、生産
性を向上させ職員の処遇を改善していく取組が必要である。
なお、これら医療・介護分野における規制・制度改革を進めるに当たって、営利
企業の利益偏重を懸念する声がある。これらの分野では安定的なサービス供給が求
められるため、利益のみが企業行動の基準となるべきではない。他方で、松下幸之
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