提案書15(2801頁~2999頁) (187 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
413203
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
歯科特定疾患療養管理料(歯原性角化嚢胞)
(公益社団法人)日本口腔外科学会
37歯科・歯科口腔外科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
00なし
関連する診療科(2つまで)
リストから選択
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
リストから選択
提案当時の医療技術名
有無をリストから選択
追加のエビデンスの有無
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
提案される医療技術の概要(200字以内)
B
2
1-A
算定要件の見直し(適応)
1-B
算定要件の見直し(施設基準)
該当する場合、リストから○を選択
○
1-C
算定要件の見直し(回数制限)
該当する場合、リストから○を選択
2-A
点数の見直し(増点)
該当する場合、リストから○を選択
2-B
点数の見直し(減点)
該当する場合、リストから○を選択
3
項目設定の見直し
○
4
保険収載の廃止
該当する場合、リストから○を選択
5
新規特定保険医療材料等に係る点数
該当する場合、リストから○を選択
6
その他(1~5のいずれも該当しない)
該当する場合、リストから○を選択
「6
その他」を選んだ場合、右欄に記載
歯科特定疾患療養管理料の算定が可能な疾患に、再発のrisk率が15%~58%と非常に高く、治療法として開窓術を選択することが多く、その後オ
ブチュレーターを装着しながら嚢胞の縮小と骨再生および再発の有無を長期間経過観察することになる歯科に特有の疾患である、歯原性角化嚢胞
を追加する。これにより、長期経過観察し易くなることで再発の有無を定期的に確認できるようになりため、患者にとって有益であると考える。
文字数: 199
再評価が必要な理由
口腔の白板症や扁平苔癬などの口腔軟組織の疾患は扁平上皮癌へ変化することが懸念されることから、厚生労働大臣が定める特定疾患として認め
られている。さらに、口腔の特異的な歯原性良性腫瘍であるエナメル上皮腫は腫瘍の性質や再発risk、手術方法や治療方針まで歯原性角化嚢胞と
非常に似ているところがあるが、エナメル上皮腫は歯科特定疾患療養管理料が認められているため、罹患した患者にも定期診察を勧めやすいた
め、長期にわたって疾患をコントロールすることができるため、患者にとって非常に有効な状況である。一方で歯原性角化嚢胞もエナメル上皮腫
と同様に、病変を一塊として摘出することが困難であるため、上皮組織の残存が再発を誘発すると考えられている。さらに、下顎臼歯部から下顎
枝上部、筋突起まで浸潤した大きい病変の場合、摘出しにくいという理由から再発のriskが高まる。現在、歯原性角化嚢胞が歯科特定疾患として
認められていないことから、経過観察が不十分でおざなりになる危険性がある。本疾患に関しては口腔内の正常構造や病変に近接した歯牙の動揺
や歯周ポケットの評価、レントゲン写真やCT検査による画像比較などの厳密な管理を必要とすることから再評価が必要である。
なお、現状の制度では歯原性角化嚢胞の術後の経過観察については歯科疾患管理料を算定し経過を診ていくことになっているが、歯原性角化嚢
胞は再発のriskも比較的高く、再発の発見が遅れた場合には顎骨の辺縁切除が必要になる場合もあり、そうなると必然的に歯も顎骨も両方とも欠
損してしまうことになり、咀嚼機能、構音機能の回復が困難になってしまい、そこからオーラルフレイル⇒全身のフレイルへと負の連鎖が始まる
ことが予測される。そのような悲惨な人生の終焉を避けるために、われわれ歯科医師(歯科口腔外科医や歯科放射線診断医、一般歯科医師)によ
る長期に渡る慎重な経過観察を継続する必要がある。類似した予後を考慮すべき疾患としてエナメル上皮腫が挙げられるが、こちらはすでに疾患
の甚大性が認知され歯科特定疾患に含まれている。これらのことをご考慮いただき、歯原性角化嚢胞も是非とも歯科特定疾患としてご承認いただ
きたいと考えております。ご理解とご高配のほど、宜しくお願い申し上げます。
【評価項目】
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)
2012年に東京医科歯科大学が口腔腫瘍学会誌に発表した論文において、2001年から2010年までの10年間に治療した歯原性角化嚢胞は106例であっ
たと報告している。その論文の中で、経過が追えた90腫瘍における再発率は26.7%であった。また5年累積再発率は38.2%、10年累積再発率は62.9%
であったとも報告している(参考文献2の図1より)。さらにその論文の中で、歯原性角化嚢胞の術後において、3年間は6か月毎のパノラマX線写
真撮影、1年毎のCT検査といった定期的な口腔内診査および画像検査が必要であり、3年経過時に病変の再発を少しでも疑う画像所見があれば経過
観察を継続する必要がある、と述べている。
本疾患は再発していても無痛性(Silent Disease)であり、患者自身で気付くことが出来ないため放置されることが多い。数年後に再発に気付
くチャンスがあるとしたら、無痛性に大きく顎骨内に浸潤した本病変に細菌感染による急性炎症や神経圧迫が生じた時であり、そうなる前に再発
を早期発見し、治療することが患者にとって有意義です。再発は歯科医師による口腔内の定期的な経過観察を行うことによってスクリーニングが
可能である。歯原性角化嚢胞再発の早期発見は手術侵襲の縮小に大きく貢献することから、歯科特定疾患に追加することで、歯科における口腔内
診察の質が担保され、その結果、より多くの患者のQOLの低下を予防することができると推測される。
②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項
現在、本疾患に関する診療報酬上の特別な取り扱いは存在しない。
・対象とする患者は長期間にわたって経過観察が必要になる歯原性角化嚢胞の既往を有する患者である。
・医療技術の内容としては、口腔白板症や扁平苔癬といった口腔粘膜疾患やエナメル上皮腫と同様で、口腔内の視診や触診などの診察および、X
線写真やCT検査によってなされるものである。
・点数の変更や追加はなく、従来と同じ170点。
B
診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)
2
医療技術名
歯科特定疾患療養管理料
2987