最終評価報告書 第3章(Ⅱ5~Ⅳ) (80 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28410.html |
出典情報 | 健康日本21(第二次)最終評価報告書を公表します(10/11)《厚生労働省》 |
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SAS 対策の必要性と活⽤〜」による SAS 対策は、法的な拘束⼒がなく、あくまで実施を推奨して
いるにすぎないため、経済的に余⼒のある企業、業界団体が⾃主的に SAS の早期発⾒・早期治
療に努めている現状である。近年 SAS の有病率が⾼いこと、循環器疾患・交通事故のリスクであ
ることが内外の報告で明らかにされてきたことから、労働衛⽣上の施策の検討が求められる。
○ 睡眠障害に対する取組としては、今回の結果をみると、まずは睡眠不⾜症候群(仕事、勉学、そ
の他の活動が原因)への取組を更に重点的に⾏う必要があると考えられる。また、睡眠時間確保
の妨げとなっている要因として仕事や育児・家事を挙げた年代で問題となりやすい、交代勤務障害、
睡眠関連呼吸障害(SAS を含む)にも、今後も継続的な対策を講じる必要がある。
これらの睡眠障害による慢性睡眠不⾜状態では、⾃覚的眠気を感じず、眠気が疲労、加齢と誤
認されている例が多いことが⽣理学的研究、疫学研究で明らかにされている。⾃覚しにくい睡眠の
問題への気づきを促す研究・施策として、SAS であれば眠気をチェックするよりも「いびきの頻度」、
「⼤きないびきの有無」、「睡眠中の呼吸停⽌の有無」等の問診の重要性を明らかにする研究、簡
便な睡眠中の呼吸モニターの開発・普及が望まれる。また、交代勤務障害に関しては、我が国を含
む先進諸国で労働者の約2〜4割が交代勤務者とされており、グローバル化を迎え、更に多くの
労働者が交代勤務に従事することが予想されることから、休養のとり⽅、交代勤務による睡眠障害
に関する情報の啓発が必要である。
② 週労働時間 60 時間以上の雇⽤者の割合の減少
○ 引き続き、⽉ 80 時間超の残業が⾏われている事業場等に対する監督指導の徹底等による過重
労働対策や、時間外労働の上限規制等について丁寧な周知・啓発を⾏うとともに、働き⽅改⾰推
進⽀援センターでの相談・⽀援等を実施し、⻑時間労働対策を推進する。
○ 平成 30(2018)年に、労働時間制度に関する制度の⾒直し、勤務間インターバル制度の普
及促進、産業医・産業保健機能の強化等を内容とする働き⽅改⾰関連法が成⽴した。具体的
には、労働基準法、労働安全衛⽣法等の改正により時間外労働の上限規制の導⼊や、フレック
スタイム制の⾒直し等が実施された。これらに沿って対策を推進していく。
○ ⻑時間労働に関しては、労働基準法によって法整備がなされているものの、依然として勤務問題
が原因での⾃殺者数は平成 10(1998)年から平成 23(2011)年で約 800 ⼈増加し、近
年漸減傾向にあるものの、総数として約 2,000 ⼈(令和元(2019)年時点)と多く、法の整
備だけでなく、その遵守に向けた対策や、⾃殺者数の抑制に向けた取組をどのように推進していくか
についても、更なる議論が必要であると考える。(⾃殺の調査における原因動機を平成 19 年から
1項⽬から3項⽬まで選択することができるようになったため、単純⽐較には注意を要する。)
○ 労働時間が⻑くなっても睡眠時間が6時間以上確保されている場合には、うつ状態のリスクは上
昇しないといった報告
23)
もあり、⻑時間労働の抑制とともに、睡眠をどのように確保するか、余暇
時間をどのように過ごすかといったことについても併せて検討し、企業単位での取組も検討する必要
がある。このように⻑時間労働の抑制と睡眠時間確保の取組を組み合わせて実施することにより、
2つの⽬標項⽬の達成につながると期待される。
5.(3)休養
第3章 Ⅱ
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