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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (107 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

② 診断のポイント
【肺炎】


臨床所見:咳・痰、呼吸音の異常、呼吸数増加、動脈血酸素分圧(PaO2)低下、経皮的動
脈血酸素飽和度(SpO2)低下



臓器診断に必要な検査:胸部 X 線、必要に応じて胸部 CT 検査



微生物診断に必要な検査:痰グラム染色、痰培養



人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-associated pneumonia: VAP)の場合も同様である。

【UTI】


臨床所見:背部痛や肋骨脊柱角(Costovertebral angle: CVA)
、叩打痛があれば急性腎盂腎炎
を疑うが、これらの症状が見られない場合も多い。男性の場合、前立腺の圧痛や精巣上体の
圧痛、陰嚢の腫大も確認する。



臓器診断に必要な検査:尿中白血球定性、尿沈渣。



微生物診断に必要な検査:尿グラム染色、尿培養。



カテーテル関連尿路感染症(Catheter-associated urinary tract infections: CAUTI)を疑う場
合は、尿道カテーテルを入れ替えてから尿培養を提出することが望ましい。

【腸管感染症】


入院 72 時間以降に新たに生じた下痢のうち、感染性の下痢が 29.4%(CDI 24.6%、その他
4.8%)
、非感染性が 45.3%、原因不明が 25.3%とされる 3。ここでは主に CDI を例に挙げる。



臨床所見:食欲低下、腹痛、下痢(初期には下痢を認めないことがある)



臓器診断に必要な検査:特になし。臨床症状で判断する。



微生物診断に必要な検査:CDI の項参照。CDI の診断に便培養は原則不要である。

【カテーテル関連血流感染症】


末梢静脈カテーテル、中心静脈カテーテル、動脈留置カテーテル等あらゆるカテーテルはカ
テーテル関連血流感染症(Catheter-related blood stream infection: CRBSI)の原因となる。



臨床所見:カテーテル刺入部の発赤があれば感染を疑うが、中心静脈カテーテルや中心静脈
ポートの感染ではほとんど見られず、その頻度は末梢静脈カテーテルで約 60%4、中心静脈
カテーテルで約 3%程度である 5。



臓器診断に必要な検査:血液培養 2 セット。
※中心静脈カテーテルが挿入されている場合、1 セットはカテーテル逆流血で、もう 1 セットは末梢血で採取する。2 セ
ットとも同一菌種が検出されれば、中心静脈カテーテル関連血流感染症(Central line-associated bloodstream infection:
CLABSI)と診断する。



カテーテル先端培養と末梢血の血液培養で同一菌種が検出された場合にも CRBSI と診断で
きる 5。なお、逆流血の方が末梢血よりも 2 時間以上早く陽性になれば CRBSI 診断の感度
85%、特異度 91%との報告もある 6。



微生物診断に必要な検査:血液培養 2 セット。

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