【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (77 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
(3) クループ症候群
主にウイルス感染による喉頭の狭窄に伴う吸気性喘鳴(stridor)、甲高い咳(犬吠様咳嗽)、
嗄声等を生じる疾患 52。
先行する鼻炎、咽頭炎等を伴い、夜間に急に増悪することが多く、数日から 1 週間程度で自
然治癒する 52。
切迫した気道閉塞をきたす急性喉頭蓋炎、細菌性気管炎、喉頭異物、アレルギー性喉頭浮腫
等の除外診断が重要である 4。
安静時に吸気性喘鳴がある児に対し、アドレナリン吸入、デキサメサゾン投与の適応があ
る。
【抗菌薬に関する推奨】
クループ症候群に対しては抗菌薬を投与しないことを推奨する。
クループ症候群とは
(i)
急性のウイルス感染症による喉頭の炎症によっておこる疾患で、急性の喉頭狭窄により特徴的
な犬吠様咳嗽や吸気性喘鳴等の症状や所見を呈する。
(ii)
クループ症候群の疫学
歴史的には、ジフテリア菌がクループ症候群の原因であったが予防接種の普及によってみられ
なくなった 53。現在はその主な原因となる病原体はパラインフルエンザを主体としたウイルスで
あり、3 か月から 5 歳くらいに多く、ウイルスが流行する秋から冬にかけて多い 52,54。SARSCoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus-2)が要因となる場合もある。
※毎年、乳幼児の 2~6%に生じ、うち 5%で繰り返し罹患する 54。感染経路は、接触および飛沫
感染である。なお、重要な鑑別診断である急性喉頭蓋炎は、その主な原因が H. influenzae b 型で
あり、ヒブワクチンの普及で激減した 4。
(iii)
診断と鑑別
クループ症候群の診断は症状および身体所見による臨床診断である。先行する鼻汁、咳、発熱
等の症状が 12~48 時間前にあることが多い 54。咳が特徴的で甲高い咳(犬吠様咳嗽:barking
cough)を伴う。嗄声も多く、進行すると安静時にも吸気性喘鳴を聴取する 4。
重要な鑑別疾患(レッドフラッグ)
急性喉頭蓋炎の他、細菌性気管炎、喉頭異物、アレルギー性喉頭浮腫等切迫する上気道閉塞を
きたす疾患の除外が重要である。
閉塞が強いと、多呼吸、起坐呼吸、陥没呼吸、酸素飽和度の低下を伴うことがあり、sniffing
position や tripod position 等気道閉塞を回避するための姿勢をとることがある(咽頭炎の項参照)。
診察で児を啼泣させたり、舌圧子で喉頭を刺激したりすると、気道の閉塞症状が増悪することが
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