【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (67 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
上続く場合は細菌性の二次感染症を考慮する。また、抗菌薬が適応の化膿性鼻副鼻腔炎は、10
日以上、症状が遷延することが多い 13,14。
治療すべき鑑別疾患の除外も重要である 11。鑑別診断は、アレルギー性鼻炎、下気道炎、気道
異物、A 群 β 溶血性連鎖球菌感染症、百日咳等である 11。感冒では聴診で喉頭の狭窄音(stridor)、
肺呼吸音で喘鳴(wheeze)やラ音(crackles)等は伴わないことが鑑別の際の一助になる。
小児は脱水に陥りやすく、水分摂取の状況を聴取し、排尿の有無を確認し、脱水の身体所見が
ないかの評価も大事である 15。
図 4. 感冒の自然経過
(iv)
治療方法
発熱、咽頭痛等に対しては、適宜、アセトアミノフェン等の解熱鎮痛剤による対症療法を
行う 12,16。また、脱水にならないように経口補液を指導する。
(v)
抗菌薬治療
感冒や急性鼻副鼻腔炎に対して抗菌薬は必要ないことが指摘されている 14,17-23。ウイルス感染
症の経過中の細菌感染症の合併を予防するために抗菌薬を投与することについては、軽症の感
冒・鼻副鼻腔炎・咽頭炎・気管支炎患者に対して、抗菌薬投与の有無による症状の改善の有無を
比較した複数の無作為化比較試験では差は認められていない 17。0 歳から 12 歳の小児を対象とし
た 12 個の無作為化比較試験をまとめた系統的レビューにおいても、上気道炎に対する抗菌薬投
与は症状緩和や合併症減少に寄与しなかったと報告されている 24。なお、乳突洞炎、扁桃周囲膿
瘍、肺炎患者を対象とした後方視的検討では、理論上は 1 名の重篤な細菌感染症を予防するため
には 2,500 人以上の非特異的な上気道感染症患者に抗菌薬を投与する必要があると試算される 25。
このようなことから、予防目的での抗菌薬は原則として投与しないことを推奨する。
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