【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (89 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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第三版
(5) 抗菌薬治療
ウイルス性腸炎と診断した場合、抗菌薬は無効であるばかりか、腸内細菌叢を乱し、菌交代現
象を引き起こすためとされ、有害であるため使用しない 86。
細菌性腸炎と判断した場合は、時宜を得た適正な抗菌薬療法は下痢の重症度を改善し罹病期間
を短縮することができる。一方で抗菌薬は保菌状態を長引かせ、また下痢症に対して広範に抗菌
薬を使用すると薬剤耐性を引き起こす。
細菌性腸炎による下痢症であっても、多くは自然軽快する。よって、健常児で軽症の場合は、
便培養を採取の上、まずは対症療法を行い、経過と便培養結果で抗菌薬治療を考慮する。細菌性
腸炎による症状(強い腹痛、しぶり腹、血便、高熱)がある場合は、便培養を採取の上、抗菌薬
療法を考慮する。一方、全身状態が不良な症例、生後 3 か月未満、免疫不全者等のハイリスク症
例は原則入院で全身管理と抗菌薬治療を行うことが実際的である。
(i)
初期治療
細菌性腸炎による強い症状があり抗菌薬治療を考慮する場合
病歴、便のグラム染色よりカンピロバクター腸炎を疑う場合
クラリスロマイシン
15mg/kg/日 分 2 3~5 日間経口投与
アジスロマイシン
10mg/kg/日 分 1 3 日間経口投与
カンピロバクター以外の細菌による感染性腸炎が強く示唆され、菌血症等重症化のリスクの
高い場合は、国内で保険適用のある薬剤で、有効性に関する明確なエビデンスのあるものは
なく、日本感染症学会・日本化学療法学会のガイドライン(JAID/JSC 感染症治療ガイドラ
イン 2019‐腸管感染症‐)等を参照。
(ii)
確定治療
カンピロバクター腸炎
自然治癒が望めるため抗菌薬は必須ではない。
高熱、強い腹痛、血便等重症例に抗菌薬投与を考慮する。
クラリスロマイシン
15mg/kg/日 分 2 3~5 日間経口投与
アジスロマイシン
10mg/kg/日 分 1 3 日間経口投与
非チフス性サルモネラ腸炎
抗菌薬により排菌期間が長くなるため、無症状キャリア、軽症患者には投与しない。ハイリ
スク症例(年少児;特に生後 3 か月以下、免疫抑制状態、炎症性腸疾患)は治療対象になる。
重症であるもの、合併症が出現しているものは入院加療が必要である。この際菌血症を合併
することが多いので、血液培養を採取する。
非チフス性サルモネラ腸炎による感染性腸炎が強く示唆され、菌血症等重症化のリスクの高
い場合は、国内で保険適用のある薬剤で、有効性に関する明確なエビデンスのあるものはな
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