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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (126 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

の必要性や有用性に関してはこの治療ゴールに基づいて判断がなされることになる(図 2)96。
所定の倫理的手続きが必要になる場合もある。
感染症診療においては、抗菌薬投与を行うことがすべてではない。適切な抗菌薬投与のために
は診断が必要である。また抗菌薬投与以外にも、感染巣のコントロール、宿主免疫の改善といっ
た大切な要因がある。このために侵襲的な検査や治療が必要になる場合もありうる。感染巣のコ
ントロールができないまま漫然と抗菌薬投与を行う場合は、患者の状態によっては、患者の苦痛
をむしろ不要に長引かせることにもなりうる。
抗菌薬投与により患者の背景にある、進行した認知症、進行したがんの自然経過を変化させる
ことはできるわけではない。生存を伸ばす可能性はあるかもしれないが、苦痛を伴う期間をむし
ろ長引かせる可能性もあることを理解しておく必要がある。また、発熱は必ずしも感染によるも
のではなく、腫瘍熱や薬剤熱、血栓形成等非感染性の発熱も鑑別に上がる。そのような中、点滴
ルートの確保、身体拘束、採血、静脈炎、薬疹、下痢、CDI、多剤耐性菌の出現等、複数のデメ
リットを伴いうる抗菌薬投与を選択する必要性を熟慮する必要がある。
一方で、症状緩和が治療ゴールの患者においても抗菌薬投与がメリットになる場合はありうる。
例えば UTI の治療は排尿時痛を、口腔内カンジダ症の治療は嚥下障害を緩和する可能性がある 97。
最も大事なことは患者の治療ゴールは何なのかをしっかり話し合い見定めることである。その
上で、抗菌薬投与が患者にとってメリットになるかどうかの判断を行いたい。

図 2. 治療ゴールの議論において、抗菌薬使用の議論を始めるためのアルゴリズム 96

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