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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (61 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

一般外来における乳幼児編
8.


小児における急性気道感染症の特徴と注意点
小児における急性気道感染症の多くを占める、感冒・鼻副鼻腔炎、咽頭炎、クループ(喉頭
炎)
、気管支炎、細気管支炎を本手引きでは取り上げる。基礎疾患のない小児(生後 3 か月以
降~小学校入学前)を対象とし、重症例の管理は対象外とする。
– これらの疾患と抗菌薬が必要となる A 群溶連菌による咽頭炎、細菌性副鼻腔炎、百日咳、
非定型肺炎を鑑別する。
– 二次性の細菌感染症により経過が遷延し増悪する可能性があり、適宜再受診が必要であ
る。ただし、予防的な投与はすべきでない。



小児では年齢ごとのリスクを加味する必要がある。
– 生後 3 か月未満の新生児・早期乳児における気道感染症の鑑別には重篤な疾患が含まれる
ため、小児の診療に慣れた医師による診察が必要である。
– 生後 3 か月以上の乳幼児における気道感染症では、感冒・鼻副鼻腔炎・咽頭炎の明確な区
別は難しい。乳幼児に特徴的な症候群としてクループ症候群や細気管支炎がある。また中
耳炎の合併に注意が必要である。重症細菌感染症の鑑別(深頸部膿瘍、細菌性喉頭蓋炎、
細菌性気管支炎、細菌性肺炎)を診察時には考慮し、熱源が明らかでない場合は、尿路感
染症や潜在性菌血症の鑑別が必要である。強い咳嗽や流行を認めた場合、百日咳の可能性
を検討する。
– 学童期(小学生)以降は、感冒、急性鼻副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎を分けて定義し、診
療する。
(成人学童期編を参照)



急性気道感染症の治療に用いられる治療薬には、小児に特有の副作用が知られているものが
ある。

(1) 小児の急性気道感染症の特徴と分類
急性気道感染症の原因の多くは、自然軽快するウイルス性疾患である 1。その中で、抗菌薬に
よる治療が必要となる状態を見逃さず診療することが求められる。成人では、主だった症状から
急性気道感染症を感冒・鼻副鼻腔炎・咽頭炎・気管支炎に分類することで治療適応を判別したが、
小児でも、学童期以降であれば合併症の危険性は低く、また症状を訴えることができるようにな
ることから、同様の診療を行う事が可能であると考えられる。小児の感染症を扱う海外のガイド
ラインも 5 歳をカットオフとしている 2。
一方で、低年齢の小児の場合は呼吸器ウイルスの感染による気道の炎症は上気道から下気道に
及び鼻汁や咳嗽はしばしば混在し、咽頭痛の訴えも不確かであることから、成人と同様に急性気
道感染症を分類することは容易ではない。厳密な病名は炎症の主座や原因微生物によって規定さ
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