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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (46 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

質問 4

第三版

これからは、風邪を引いた、または下痢をしているのに抗生物質(抗菌薬)を出して
もらえないのでしょうか?

回答 4

医師はいつも患者さんの速やかな回復を願って診療しています。今後もその方針は何
ら変わりません。一見、ウイルスによる風邪や下痢のように見える感染症の中には抗
生物質(抗菌薬)の効く細菌による感染症が一部含まれていることは事実ですが、風
邪や下痢の大部分は抗生物質(抗菌薬)の効かないウイルス性の感染症や抗生物質
(抗菌薬)を飲んでも飲まなくても自然に治る感染症です。抗生物質(抗菌薬)が効
くか効かないかはとても大切な区別ですので、私たちはこの手引きに従って、抗生物
質(抗菌薬)が必要ないことを確かめた上で抗生物質(抗菌薬)を処方するかしない
かを判断しています。

質問 5

ウイルス感染症等の自然に治る感染症に対して抗生物質(抗菌薬)を使うと何か悪い
ことがあるのでしょうか?

回答 5

抗生物質(抗菌薬)は細菌の細胞内の装置を阻害する薬ですので、細菌を退治する効
果があります。ウイルスは細胞ではないので抗生物質(抗菌薬)は効きません。抗生
物質(抗菌薬)はヒトの細胞には作用しないので健康な人が飲んでも直接の害はほと
んどありませんが、薬とはいえ人にとっては異物ですので、アレルギー反応を生じた
り、肝臓や腎臓を傷めたりすることがあります。また、口から腸の中や皮膚には、無
害な細菌や有益な細菌(いわゆる善玉菌)が数多く住み着いています(常在菌と呼び
ます)。抗生物質(抗菌薬)は常在菌を殺してしまい、下痢や腹痛を起こすことがあ
ります。さらに、常在菌を殺してしまうと、抗生物質(抗菌薬)が効かないように変
身した細菌(耐性菌と呼びます)やカビが身体の表面や腸の中で生き残って増えてし
まうことがあります。抗生物質(抗菌薬)を飲んだ人には、そのようにして増えた耐
性菌やカビが感染症を起こしたり、他人に感染症を起こす原因になったりすることが
あります。つまり、抗生物質(抗菌薬)は不要の人には悪い効果しかありません。そ
して、世の中に抗生物質(抗菌薬)を飲む人が多ければ多いほど、人々(抗生物質を
飲む人も飲まない人でも)の身体には耐性菌が多く住み着いている状態になります。
そうすると、これから先、あなたやあなたの近くの人が細菌感染症に罹ってしまった
場合に、本来効くはずの抗生物質(抗菌薬)が効かない、という状況に陥ってしまい
やすくなります。このような状況は以前から指摘されていて、この数年、全世界的な
問題になっています。その対策としては、抗生物質(抗菌薬)を本当に必要な場合の
みに使う(不要の場合は使わない)ということが求められています。

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