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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (90 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

く、学会のガイドライン(JAID/JSC ガイドライン 2019‐腸管感染症‐)等を参照する。


下痢原性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌(EHEC)を除いたその他の下痢原性大腸菌による腸炎は自然治癒する傾
向がある。EHEC の関与が疑われる腸炎では、本邦においては未だ抗菌薬投与に関する統一
した見解は出ていない。欧米のガイドラインでは抗菌薬(多くは ST 合剤、β-ラクタム系抗
菌薬)は溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome: HUS)発症のリスクが増すこと
から、否定的な見解が多い。一方、抗菌薬の投与が HUS のリスクには影響を与えないとい
うメタ解析もある 101。さらに国内の限られた症例数ではあるが、ホスホマイシンを中心と
して抗菌薬を使用し有効であったとの報告もある 102-104。
日本感染症学会・日本化学療法学会の指針では、「現時点で抗菌薬治療に対しての推奨は統一

されていない」とされている。よって本手引きにおいても上記指針を踏襲し、抗菌薬投与は推奨
せず、支持療法を推奨し、EHEC 感染者の 3~10%に HUS が発症することを十分説明し、頻回
に経過フォローを行い、早期発見に最大限努めることを推奨する。

(6) その他の薬物療法に関する考え方
嘔吐に対する制吐剤、下痢に対する止痢剤はエビデンスに乏しく推奨されていない 94。ロペラ
ミドは乳児でイレウスの発症が報告され、6 か月未満は禁忌、6 か月以上 2 歳未満の乳幼児は治
療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しない 94。

(7) 患者および保護者への説明
【医師から患者への説明例:急性胃腸炎の場合】
「お腹の風邪」と表現されるものです。多くはウイルスが原因で、特別な治療薬(=特効薬)
はありません。自分の免疫の力で自然と治癒します。
年少児で発熱を伴う場合や、重症例、免疫不全を除き、細菌検査やウイルス検査する意義はあ
りません。
治療の基本は、脱水の予防です。体液に近い成分の水分を口からこまめにとることが重要で
す。最初は少量を(最初はティースプーン一杯程度)10~15 分毎に与えてください。急にたく
さん与えてしまうと嘔吐を誘発することになり、さらに脱水が悪化しますので、根気よく、少量
ずつ与えてください。1 時間くらい続けて、症状の悪化がないことが確認できたら、少しずつ
1 回量を増やしましょう。どれくらいの量をあたえるべきかに関しては、かかりつけの医師に相
談してください。
このような水分摂取をしても水分がとれない、それ以上に吐く・下痢をするということがありま
したら、さらに脱水が進む可能性があり、点滴(輸液療法)が必要となることもあります。また尿
が出ない、不機嫌、意識状態の悪化(ぐったり感が強い、ウトウトして眠りがち)、激しい腹痛
や、保護者の方がみて「いつもと違う」と感じられたら、再度、医療機関を受診してください。

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