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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (24 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

方を迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出された場合のみに限ると、不要な抗菌薬使用を減
らすことができ 46、費用対効果も高いこと 51 が報告されている。
一方、小児では Centor の基準で最も高い 4点の陽性率ですら 68%であったと報告されており 52、
Centor の基準や McIsaac の基準の点数のみで小児の急性咽頭炎の原因微生物が GAS であると判断
した場合には過剰診断につながる可能性があることから、より正確な診断のために検査診断が必
要になる。
表 2. McIsaac の基準
発熱

文献 46, 47 より作成

1点

38℃以上

咳がない

1点

圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹

1点

白苔を伴う扁桃腺炎

1点

年齢

3-14 歳

1点

15-44 歳

0点

45 歳-

-1 点

急性咽頭炎の鑑別診断としては、EB ウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒト
免疫不全ウイルス(HIV)、風疹ウイルス、トキソプラズマを原因微生物とする伝染性単核症が
あるが、伝染性単核症の患者では、前述の Centor の基準や McIsaac の基準で容易に高得点にな
るため、これらの基準を用いても伝染性単核症の鑑別ができないと指摘されている 53。ただし、
GAS による咽頭炎では前頸部リンパ節が腫脹するが、伝染性単核症では耳介後部や後頸部リン
パ節の腫脹や脾腫が比較的特異性の高い所見であり 54、また、血液検査でリンパ球分画が 35%以
上あれば、伝染性単核症の可能性が高くなることも報告されている 55。
咽頭痛を訴える患者では、急性喉頭蓋炎、深頸部膿瘍(扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、Ludwig ア
ンギーナ等)、Lemierre 症候群等の命に関わる疾病が原因である可能性もあることから、人生最
悪の喉の痛み、開口障害、唾を飲み込めない(流涎)、Tripod Position(三脚のような姿勢)、吸
気性喘鳴(Stridor)といった Red Flag(危険症候)注6があればこれらの疾病を疑い、緊急気道確
保ができる体制を整えるべきと指摘されている 56,57。特に小児の場合は、口腔内の診察や、採血、
レントゲン撮影等により啼泣させることによって気道閉塞症状が急速に増悪する可能性があるこ
とから、これらの疾病を疑った場合には、患者を刺激するような診察、検査は避け、楽な姿勢の
ままで、安全に気道確保できる施設へと速やかに搬送することが重要と考えられている 49。さら
に、嚥下痛が乏しい場合や、咽頭や扁桃の炎症所見を伴っていないにもかかわらず咽頭痛を訴え
る場合は、頸部への放散痛としての「喉の痛み」の可能性があり、急性心筋梗塞、くも膜下出血、
頸動脈解離、椎骨動脈解離等を考慮する必要があると指摘されている 56,57。

注6

Red Flag(レッドフラッグ、危険症候)とは、診療を進める上において見過ごしてはならない症候をいう。

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