【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (66 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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9.
第三版
小児の急性気道感染症各論
(1) 感冒・急性鼻副鼻腔炎
ウイルスによる急性の上気道感染症で、鼻汁、鼻閉が主体である。発熱、筋肉痛、頭痛、
咳、咽頭痛、嗄声、不機嫌、睡眠障害、食欲不振、嘔吐、下痢等をきたすこともある 11。
感冒では、鼻炎の症状が主体であるが、自然治癒する副鼻腔炎を合併することも多く、急性
鼻副鼻腔炎を含む 11,12。
食欲不振、飲水不良等による脱水症状に気をつけ、経口補液を勧める(急性下痢症の項目を
参照)
【抗菌薬に関する推奨】
感冒・急性副鼻腔炎に対して、抗菌薬投与を投与しないことを推奨する。また、抗菌薬の予
防的投与を行わないことを推奨する。
初期診断が感冒・急性副鼻腔炎であっても、呼吸状態等が増悪する例、湿性咳嗽が 10 日以上
続く例、軽快後に再増悪する例については、抗菌薬の適応となるような化膿性副鼻腔炎、細
菌性肺炎、化膿性中耳炎等を鑑別する。気道系や中耳炎であれば、初期治療はアモキシシリ
ン投与を考慮する。非定型肺炎が考えられる場合は、必要があればマクロライド系抗菌薬を
投与する。
感冒とは
(i)
小児における感冒では、咳、咽頭痛といった気道症状に加え、発熱、嗄声、頭痛、筋肉痛、不
機嫌、睡眠障害、食欲不振、嘔吐、下痢等多様な症状をきたすこともある 11。また、乳幼児では
急性鼻副鼻腔炎も合併していることも多いため、感冒と急性鼻副鼻腔炎との明確な区別は難しく、
臨床的にはこれらを区別する意義は少なく、細菌による二次感染の有無を鑑別することが求めら
れる。
(ii)
感冒の疫学
乳幼児を中心に小児は年平均 6~8 回感冒に罹患し、小児の 10~15%は年に最低 12 回罹患す
るが年齢とともに罹患は減少する 1,11。感冒については、年間を通して罹患するが、主に冬の前
後の時期に多い。集団保育児では、自宅でみている乳幼児より罹患しやすい。感染経路は、接触
および飛沫感染であり 13、感染してから 1~3 日の潜伏期間で症状が出る場合が多い 13。
(iii)
診断と鑑別
鼻汁、軽度の咳等の急性の上気道中心の症状で疑い、症状および身体所見による臨床診断が主
体である。感冒症状のある者との接触歴も重要である 4。
一般的には 2~3 日をピークに症状は自然軽快する。10 日以内に消失することが多いが軽い症
状は 2~3 週続くことも稀ではない 1。軽快傾向が認められた後に再増悪する場合や発熱が 3 日以
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