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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (94 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

(4) 抗菌薬治療
抗菌薬による中耳炎の治療目的と治療適応の考え方

(i)

抗菌薬治療の目的は急性中耳炎に伴う症状(発熱、耳痛等)の早期改善と急性中耳炎に続発す
る合併症を減らすことである。2015 年に発表されたコクランレビューでは、抗菌薬治療は、テ
ィンパノメトリーの異常(鼓膜の可動不良)、鼓膜穿孔、反対側の急性中耳炎の発症を防ぐこと
に対して、一定の効果があるとされる 117。一方で急性中耳炎は、抗菌薬処方がなくても、4 分の
3 以上が 1 週間で自然治癒し、2 歳以上は 3 日で 70%改善し、2 歳未満の場合は 10 日で約半数が
治癒することも知られ、全例に抗菌薬が必要な疾患ではない 118-122。また抗菌薬治療は、下痢等
の副作用や細菌の薬剤耐性化の原因となりうるため、必要の可否と必要な場合の適切な抗菌薬選
択が重要である。
米国小児科学会ガイドラインでは、抗菌薬投与を①耳漏がある場合,②重症(toxic、48 時間
以上持続する耳痛,39℃以上の発熱)の場合,③ 6 か月~2 歳で両側の場合に抗菌薬投与を行う
と推奨している 112。本邦のガイドラインでも、年齢とリスク因子を考慮し、臨床症状と鼓膜所
見の評価の上で、自然寛解を期待して 2~3 日間の抗菌薬を投与しない期間を設けることが妥当
とされている 105。

(ii)

抗菌薬投与基準

上記を踏まえて中耳炎に対する抗菌薬投与基準を以下のように定める。
中耳由来の耳漏がある場合には抗菌薬投与を考慮する。吸引等で鼓膜を可視化し穿孔部位か



ら拍動性の耳漏が確認できれば最も診断精度が高い。
発熱、不機嫌、耳痛等があり、発赤と膨隆を伴う鼓膜所見がある場合は、抗菌薬投与を考慮



する。
全身状態が良く、中耳由来の耳漏がない場合は、自然に改善することが多いこと、抗菌薬の



使用は副作用や耐性菌を作るデメリットがあること、フォローで改善しない場合には抗菌薬
治療を考慮することの説明を行い、同意を得た上で(下記説明文参照)、2-3 日間の抗菌薬を
投与せずに、解熱鎮痛剤等を中心とした対症療法を行う。
抗菌薬投与の適応は、中耳炎が重症化する以下のリスクファクターを考慮する。(2 歳未満



の低年齢、免疫不全等の基礎疾患の存在、肺炎球菌ワクチン未接種、中耳炎の既往歴、医療
アクセス不良。


(iii)

第一選択薬

アモキシシリンを第一選択薬として推奨する。治療ターゲットとする細菌は肺炎球菌と Nontypable H. influenzae(NTHi)である。肺炎球菌ワクチン(PCV)導入後はワクチンに含有され
る 13 価以外の血清型による感染症の増加もあり、現在肺炎球菌と NTHi は同じくらいの頻度か H.
influenzae が多く なって きて いる 96。 本 邦では 、肺 炎球菌 は PRSP(Penicillin-resistant S.
pneumoniae)
、NTHi は BLNAR(β-lactamase-negative ampicillin-resistant)が問題となる。肺炎

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