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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、小児用量は成人量を上限
とする。
」とされている。

(5) 患者・家族への説明
急性気道感染症の診療における患者への説明で重要な要素としては表 5 のようなものが示され
ている 86-88。これらの要素を踏まえた保健指導を行う訓練を受けた医師は、受けなかった医師と
比べて、有害事象を増やすことなく、抗菌薬の処方を 30-50%減らすことができたことが報告さ
れている 87,88。
表 5. 急性気道感染症の診療における患者への説明で重要な要素
1) 情報の収集

文献 86-88 から作成

 患者の心配事や期待することを引き出す。
 抗菌薬についての意見を積極的に尋ねる。

2) 適切な情報の提供

 重要な情報を提供する。
– 急性気管支炎の場合、咳は 4 週間程度続くことがある。
– 急性気道感染症の大部分は自然軽快する。
– 身体が病原体に対して戦うが、良くなるまでには時間がかかる。
 抗菌薬に関する正しい情報を提供する。
 十分な栄養、水分をとり、ゆっくり休むことが大切である。

3) まとめ

 これまでのやりとりをまとめて、情報の理解を確認する。
 注意するべき症状や、どのような時に再受診するべきかについての具体的な指示
を行う。

患者及び家族への説明の際、「ウイルス感染症です。特に有効な治療はありません」、「抗菌薬
は必要ありません」という否定的な説明のみでは不満を抱かれやすい 89,90 が、その一方で、例え
ば「症状を和らげる薬を出しておきますね」「暖かい飲み物を飲むと鼻づまりがラクになります
よ」といった肯定的な説明は受け入れられやすいことが指摘されている 91。肯定的な説明のみを
行った場合、否定的な説明のみ行った場合、両方の説明を行った場合の三者を比較すると、両方
の説明を行った方が抗菌薬の処方は少なく、患者の満足度も高かったということが報告されてい
る 91。否定的な説明だけでなく、肯定的な説明を行うことが患者の満足度を損なわずに抗菌薬処
方を減らし、良好な医師-患者関係の維持・確立にもつながると考えられている 91。
ま た 、 近 年 、 急 性 気 道 感 染 症 に お け る 抗 菌 薬 使 用 削 減 の た め の 戦 略 と し て 、Delayed
Antibiotics Prescription(DAP:抗菌薬の延期処方)に関する科学的知見が集まってきている 注11。
初診時に抗菌薬投与の明らかな適応がない急性気道感染症の患者に対して、その場で抗菌薬を処
方するのではなく、その後の経過が思わしくない場合にのみ抗菌薬を投与すると、合併症や副作
用、予期しない受診等の好ましくない転帰を増やすことなく抗菌薬処方を減らすことができるこ
とが報告されている 92-94。

注11

参考資料(2)を参照のこと。

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