【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (25 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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(iv)
第三版
急性気管支炎
発熱や痰の有無を問わず、咳を主症状とする病態を有する急性気道感染症を、本手引きでは急
性気管支炎に分類する。急性気道感染症による咳は 2-3 週間続くことも少なくなく、平均 17.8 日
間注7持続すると報告されている 58。
急性気管支炎の原因微生物は、ウイルスが 90%以上を占め、残りの 5-10%は百日咳菌、マイ
コプラズマ、クラミジア・ニューモニエであると指摘されている 21,59 が、膿性喀痰や喀痰の色の
変化では、細菌性であるかの判断はできないと指摘されている 21。なお、基礎疾患がない 70 歳
未満の成人では、バイタルサイン(生命兆候)の異常(体温 38℃以上、脈拍 100 回/分以上、呼
吸数 24 回/分以上)及び胸部聴診所見の異常がなければ、通常、胸部レントゲン撮影は不要と指
摘されている 21。
百日咳については、特異的な臨床症状はないことから、臨床症状のみで診断することは困難と
される 60 が、咳の後の嘔吐や吸気時の笛声(inspiratory whoop)があれば百日咳の可能性が若干
高くなることが報告されている 60。また、百日咳の血清診断(抗 PT 抗体)は、迅速性に欠ける
ため、臨床現場では使いにくいとされる 61,62 が、2016 年 11 月に保険収載された後鼻腔ぬぐい液
の LAMP(Loop−mediated isothermal amplification)法による百日咳菌の核酸検出法では、リア
ルタイム PCR 法を参照基準にした場合の感度は 76.2-96.6%、特異度は 94.1-99.5%であることが
報告されている 63,64。これらのことから、流行状況に応じて、強い咳が長引く場合や、百日咳の
患者への接触後に感冒症状が生じた場合には、百日咳に対する臨床検査を考慮する必要がある。
その他に鑑別が必要な疾患としては、結核が挙げられる。咳が 2-3 週間以上続く場合、日本で
は未だ罹患率の高い結核の可能性を考慮する必要がある。
なお、小児の場合、2 週間以上湿性咳が遷延し改善しない症例については、抗菌薬の適応のあ
る急性鼻副鼻腔炎の可能性があること 30、また、マイコプラズマに感染した学童期の小児のうち
10%は肺炎に移行する可能性があることが指摘されている 16。さらに、日本小児呼吸器学会・日
本小児感染症学会の指針では、1 歳以上の小児において 1 週間以上続く咳の鑑別として、特徴的
な「吸気性笛声」「発作性の連続性の咳こみ」「咳こみ後の嘔吐」「息詰まり感、呼吸困難」のう
ち 1 つ以上を有する症例を臨床的百日咳と定義されており 65、患者を経時的に診るという視点が
重要である。
以上の急性気道感染症の診断の流れをまとめると図 3 のようになる。
注7
研究によって 15.3~28.6 日間と幅がある。
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