【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
第三版
(3) 抗微生物薬の不適正使用とは
本手引きでは、抗微生物薬が適正使用されていない状況を「不必要使用」と「不適切使用」に
大別して記載する。「不必要使用」とは、抗微生物薬が必要でない病態において抗微生物薬が使
用されている状態を指す。また、「不適切使用」とは抗微生物薬が投与されるべき病態であるが、
その状況における抗微生物薬の選択、使用量、使用期間が標準的な治療から逸脱した状態を指す。
以前に処方された抗菌薬を保存しておき、発熱等の際に患者が自らの判断で服用することは、
「不必要使用」又は「不適切使用」のいずれかになる可能性が考えられるが、このような抗微生
物薬の使用は、感染症の診断を困難にするばかりではなく、安全性の側面(薬剤の副作用、必要
量以上の投与等)からも問題がある。特殊な状況を除いて、患者はこのような行為は慎み、医療
従事者は上記のような使用をしないように患者に伝えることが重要である。
(4) その他
感染症を予防することは、抗微生物薬が必要な病態を減らし、抗微生物薬の使用を減らすこと
につながる。そのような急性気道感染症及び急性下痢症の予防に関しても配慮されるべき事項に
ついて要点を記載する。
手指衛生(手洗い)
(i)
手指衛生は、急性気道感染症及び急性下痢症を起こしうる微生物(主にウイルス)の伝播を防
ぐことが知られており、特に小児からの急性気道感染症の伝播に対して効果が高いこと 20 や、急
性下痢症の発生を減少させること 21 が報告されている。手指衛生の方法はいくつかあるが、主に
①アルコール含有擦式消毒薬の使用と、②石鹸と流水の使用が挙げられるが、鼻汁、痰、吐物等
が手に付着した場合(目で見える汚れがある場合)には流水と石鹸での手指衛生が推奨されてい
る 22。特に、ノロウイルスによる急性下痢症では、アルコール含有擦式消毒薬による手指衛生は
十分でなく、石鹸と流水が好ましい旨を示している 23。
(ii)
ワクチン接種
急性気道感染症及び急性下痢症の一部には予防効果が期待されるワクチンが存在する。すなわ
ち、気道感染症においてはインフルエンザワクチンや百日咳ワクチン(ジフテリア、破傷風、不
活化ポリオとの四種混合ワクチン[DPT-IPV]、又はジフテリア、破傷風との三種混合ワクチン
[DPT]に含まれる)、麻しん風しん混合ワクチン(MR ワクチン)、新型コロナウイルスワクチ
ン、細菌性肺炎の原因となる肺炎球菌に対するワクチン、Haemophilus influenzae b 型に対する
ワクチン(ヒブワクチン)、急性下痢症においてはロタウイルスワクチンである。日本では、四
種混合 DPT-IPV ワクチン、MR ワクチン、沈降 13 価肺炎球菌結合型ワクチン、ヒブワクチン、
ロタウイルスワクチンは小児の定期接種、23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン、イン
フルエンザワクチンは高齢者の定期接種、またインフルエンザワクチン(高齢者を除く)、三種
16