【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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2.
第三版
総論
(1) 抗微生物薬適正使用とは
抗微生物薬適正使用注3とは、文字通り抗微生物薬を適正に使用するための取組(介入)に係る
全般的な概念である。抗微生物薬適正使用では、主に抗微生物薬使用の適応を判断し、治療選択、
使用量、使用期間等を明確に評価して、抗微生物薬が投与される患者のアウトカムを改善し、有
害事象を最小限にすることを主目的としている 18。
これまでの研究では、抗微生物薬適正使用の方法として、処方後監査と直接の処方者への情報
提供、特定の抗微生物薬の採用の制限や処方前許可制の仕組み、抗微生物薬使用の教育・普及啓
発、より狭域な抗微生物薬への変更、治療指針の導入、静注抗微生物薬から経口抗微生物薬への
変更、迅速診断の導入、処方を遅らせるような介入(抗菌薬の延期処方等)等が挙げられており、
日常診療では、これらの介入を単独又は複数組み合わせて、抗微生物薬適正使用を進めていくこ
とになる。なお、どの介入が適しているかに関しては、抗微生物薬適正使用を行う診療の状況
(入院診療、外来診療)や、実際に適正使用を行う医療機関の資源の充実度により異なると考え
られている 19。
(2) 抗微生物薬使用の適応病態
抗微生物薬使用の適応となる病態は、原則として抗微生物薬の投与が標準治療として確立して
いる感染症と診断されている、又は強く疑われる病態である。その適応以外での抗微生物薬使用
は最小限に止めるべきであり、また、細菌感染症であっても、抗菌薬を使用しなくても自然軽快
する感染症も存在するため、各医師は、抗菌薬の適応病態を自らが関わる診療の状況ごとに把握
しておくべきである。
患者は、適切に処方された抗菌薬については、症状が改善したからといって途中でやめるので
はなく、医師の指示通り最後まで服用すべきである。また、医師から抗菌薬の服用中止の指示が
出され、抗菌薬が余る状況になった際には、それらの抗菌薬は適切に廃棄すべきである。
なお、外来診療における対応が困難な患者が受診した場合は、速やかに適切な医療機関に搬送
すべきである。その際、その後の培養検査の感度を損なうことのないよう、抗菌薬を投与する前
に適切な培養検査(血液培養の複数セット採取、喀痰や尿のグラム染色・培養)を実施すること
が望ましい。
注3
英語ではしばしば Antimicrobial Stewardship という言葉も用いられる。
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