【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (93 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
第三版
(3) 診断
急性中耳炎の診断は、耳鏡を用いた鼓膜診察で局所所見を正確に取ることによる。国内の中耳
炎ガイドラインは局所所見を重要視し、詳細な所見に基づく診断を推奨している 105。米国小児
科学会ガイドライン 112 でも、急性中耳炎の診断は鼓膜所見に基づいた以下 3 点の基準が掲げら
れている。①中等度~高度の鼓膜膨隆,あるいは急性外耳道炎によらない耳漏が認められる場合
は急性中耳炎と診断する。②鼓膜の軽度膨隆と強い鼓膜発赤とともに急性(48 時間以内)に発
症した耳痛(耳を触る,引っ張る,擦る)がある場合は急性中耳炎と診断する。③中耳腔液体貯
留がない鼓膜発赤は急性中耳炎と診断すべきでない。総合すると、中耳炎の最も重要な所見は、
鼓膜の膨隆である。鼓膜発赤は、発熱や啼泣のみでも認めることがある。
乳幼児は耳痛を正確に表現できないため,発熱と不機嫌だけが訴えとなる可能性や、発熱のな
い中耳炎が 40%あることが挙げられ 113-116、鼓膜所見が重要視される。一方で、耳痛や発熱不機
嫌の鑑別として、他の局所感染や全身性の重症細菌感染症を見極める必要性がある。口腔内病変
等でも耳痛の原因となることがある。耳垢があり除去できず鼓膜の評価が困難な場合は、耳鼻咽
喉科医への紹介等を検討する。
表 5. 耳痛の鑑別
耳痛で鑑別すべき疾患
1)
中耳炎
8)
髄膜炎
2)
鼓膜炎
9)
化膿性唾液腺炎
3)
外耳道炎
10) 帯状疱疹
4)
外耳道異物
11) 乳様突起炎
5)
流行性耳下腺炎(ムンプス)
12) 外傷
6)
耳介前、耳介後部リンパ節炎
13) 蜂窩織炎
7)
う歯,歯肉炎
表 6. 耳痛・中耳炎の診療中に注意すべき所見(レッドフラッグ)と検討すべき事項
所
見
検討事項および鑑別すべき疾患
抗菌薬を投与せず経過観察して 2-3 日で局所・全
中耳炎として抗菌薬の投与を検討する
身所見ともに改善しない
他の感染巣の有無を見極め、診断を再検討する
抗菌薬治療を開始して 2-3 日で局所・全身所見と
他の感染巣の有無を見極め、診断を再検討する
もに改善しない
外科的ドレナージ(鼓膜切開)の適応を見極める
耐性菌を意識した抗菌薬の変更を検討する
耳介後部の発赤・腫脹と圧痛、耳介聳立
乳様突起炎
項部硬直、意識障害、けいれん、‟not doing well”
髄膜炎
下顎角周囲の腫脹、疼痛、唾液腺開口部の発赤
化膿性唾液腺炎、流行性耳下腺炎
93