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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (124 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

抗菌薬の経静脈投与と経口投与

(ii)
要旨

抗菌薬の経静脈投与から経口投与への変更には多くの利点があり、可能な症例では積極的に



検討する


経口抗菌薬への変更にあたっては、一定の条件を満たす必要がある



バイオアベイラビリティ(bioavailability)に優れた経口抗菌薬を選択することで、経静脈抗
菌薬と同等の効果を期待できることが多い

はじめに
抗菌薬の投与ルートには経静脈と経口がある。入院患者では重症度や経口摂取困難等の理由か
ら経静脈的な抗菌薬投与が初期治療として選択されることが多い。各感染症の治療期間すべてを
経静脈投与にて完遂されることもあるが、経静脈投与から経口投与への変更には、薬剤コストや
静注抗菌薬の調整に関わる時間の削減・入院期間の短縮・患者の快適性の向上・点滴に関連した
感染症や血栓症等の合併症の減少等様々な利点がある 88-90。このため、抗菌薬適正使用の観点か
ら切り替えが可能な症例では積極的な検討を行うことが望ましい。
経静脈抗菌薬から経口抗菌薬への切り替え
経静脈抗菌薬から経口抗菌薬への切り替えを考慮する際は、以下のような基準をすべて満たし
ていることが推奨されている(表 10)89-91。
表 10. 経静脈抗菌薬から経口抗菌薬への切り替えが可能な推奨基準


臨床症状が改善している



24 時間 38℃未満の解熱を維持しており、呼吸・循環動態が安定している



静注抗菌薬による治療継続が必要な感染症(例:髄膜炎、発熱性好中球減少症、感染性心内
膜炎等)ではない



経口もしくは経鼻胃管での投与が可能で、かつ、十分な吸収が見込まれる



適切な経口抗菌薬の選択肢がある



患者が経口抗菌薬を自己中断せず継続可能である(外来等の場合)

経静脈抗菌薬から経口抗菌薬への切り替えには、以下のようないくつかのパターンが考えられ
るが 92、感染症の症候群や薬剤感受性、患者特性(腎機能やアレルギー歴等)に応じ、可能な経
口抗菌薬の中から薬剤選択を行う。
① ある薬の経静脈抗菌薬を、同じ化合物の経口抗菌薬に置き換える場合 (例:レボフロキ
サシンの点滴静注から経口への切り替え)
② 同じクラスで同じ効能を持つが、化合物が異なる経静脈抗菌薬から、同等の経口抗菌薬
に変更する場合(例:セファゾリン点滴静注からセファレキシン経口への変更)

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