【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (120 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》 |
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B)
第三版
短期治療を適用するための条件
多くの場合、短期治療を適用するための前提条件がある。例えば、黄色ブドウ球菌の菌血症の
治療期間は血液培養が陰性化してから 4~6 週間が一般的だが 76、一定の条件を満たす「非複雑
性」菌血症の症例については、例外的に短期治療が選択可能かもしれない(黄色ブドウ球菌の項
を参照)77。
また、グラム陰性菌による菌血症の治療期間は従来 14 日間の治療が一般的であったが、特に腸
内細菌目細菌による「非複雑性」菌血症では 7 日間治療が非劣性であるとする RCT があり 78-80、
メタアナリシスでも 7 日治療群と 14 日治療群の予後に有意な差は認めなかった 81(補遺 p5 参照)
。
デルファイ法を用いてグラム陰性菌の「非複雑性」菌血症を定義する試みの研究では、表 7 の条
件すべてを満たす症例を「非複雑性」菌血症と定義されている 82。短期治療の患者への適応にあ
たってはこれらの条件に概ね相当するかを十分検討する。
表 7. 専門家によるグラム陰性菌における非複雑性菌血症の定義の例 82
菌血症の原因となった感染巣が以下のいずれか
(1) UTI、(2) 腹腔内/胆道感染、(3) CRBSI、(4) 肺炎(器質的肺疾患のある症例・膿胸/膿瘍の合
併・嚢胞性線維症例を除く)、(5) 皮膚軟部組織感染
ソースコントロールができている
– 感染した人工物やカテーテル・デバイスの除去、感染性液体貯留のほぼ完全なドレナージ、
必要に応じ画像検査で残存する感染巣がないことの確認
固形臓器移植や好中球減少症、ステロイド・免疫抑制剤使用等の免疫不全がない
– ただし、免疫抑制治療中でも安定していれば症例ごとに判断する
有効な抗菌薬治療開始後 48-72 時間以内に臨床上の改善が見られる、最低でも解熱し血行動態
が安定化している
– この条件を満たさなければ短期治療が不可ではなく、この条件を満たしている場合は積極的に
短期治療の候補となる
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