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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (48 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

ら、抗生物質(抗菌薬)を出してよかった」という記憶が残ってしまいます。このよ
うな経験を繰り返しているうちに、医師自身、抗生物質(抗菌薬)を出した方が患者
さんに喜ばれるのではないか?という気になってしまっていたのです。
結果として「風邪を引いたらお医者さんで抗生物質をもらったら治る」という思い
込みができても仕方ありません。まれですが「以前に飲んだらすぐに治ったから、今
回も抗生物質を出してほしい」と強く希望される患者さんもいます。医師は患者さん
に満足してもらうことを優先しますから、そういう希望を聞いたり、会話の中で感じ
取ったりして、患者さんに安心していただくために抗生物質(抗菌薬)を出していた
ことがあるかもしれません。

質問 7

これからは、風邪や下痢の時に抗生物質(抗菌薬)を出さないのですか?

回答 7

風邪や下痢には抗生物質(抗菌薬)を出さないということではありません。風邪や下
痢の時に、抗生物質(抗菌薬)が必要かどうかを正しく診断できるように診察を進
め、必要がないと診断した場合には出さないということです。抗生物質(抗菌薬)が
出ていないことで心配に感じられるのであれば、是非お申し出ください。どのように
診察して診断したかをご安心できるように詳しく説明いたします。
今まで、医師と患者さんの経験と行動の積み重ねから、抗生物質(抗菌薬)の使い
すぎを生じ、そして現在の薬剤耐性(AMR)問題をもたらしてしまいました。これま
で医師は、このような「抗生物質(抗菌薬)は、本当は不要でも有害ではないのだか
ら良いだろう」という考えで抗生物質(抗菌薬)を処方していたかもしれません。し
かし、これからは違います。この手引きを使って本当に抗生物質(抗菌薬)が必要な
状況と不必要な状況とをしっかりと区別し、抗生物質(抗菌薬)が必要な患者さんに
だけ抗生物質(抗菌薬)を投与する方針をとりたいと考えています。そのようにしな
いと、薬剤耐性(AMR)問題は悪化する一方で、抗菌薬が効いてほしい時に効いてく
れない薬になってしまう可能性があり、既にある程度、そのようになってしまってい
ることがわかっています。
私たち医師はいつでもすべての患者さんの速やかな回復を願って診療しています。
抗生物質(抗菌薬)の良く効く細菌による感染症の場合にはもちろん抗生物質(抗菌
薬)を飲んでもらいます。そのような感染症を見逃さないように慎重に診察を行いま
す。その上で抗生物質(抗菌薬)が必要ないことを確かめた場合には私たちは抗生物
質(抗菌薬)を処方しません。抗生物質(抗菌薬)がいざという時(本当に細菌によ
る感染症だった時)に皆さんに良く効く薬であるためですのでご理解ください。

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