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【参考資料4】抗微生物薬適正使用の手引き 第三版 本編 (28 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45318.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(第6回 11/19)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第三版

ACP/CDC の指針では、急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬の適応は、症状が 10 日間を超える場合
や重症例の場合(39℃以上の発熱がある場合、膿性鼻汁や顔面痛が 3 日間以上続く場合)、典型的
なウイルス性疾患で症状が 5 日間以上続き、一度軽快してから悪化した場合に限定されている 21。
日本鼻科学会や JAID/JSC の指針でも、表 2 に示す軽症例(1-3 点の症例)では抗菌薬を投与せず
に経過観察することが推奨されている 49,67,68。
このようなことから、本手引きでは、成人では、軽症の急性鼻副鼻腔炎に対しては、抗菌薬投
与を行わないことを推奨する。
また、米国小児科学会の指針では、小児の急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬の適応を、表 4 に示
す①10 日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの、②39℃以上の発熱と膿性鼻汁が少
なくとも 3 日以上続き重症感のあるもの、③感冒に引き続き、約 1 週間後に再度の発熱や日中の
鼻汁・咳の増悪が見られるものと定められており、それ以外の状況では抗菌薬投与を行わずに経
過観察することが推奨されている 69。
このことから、本手引きでは、小児では、急性鼻副鼻腔炎に対しては、原則抗菌薬投与を行わ
ないことを推奨する。
急性鼻副鼻腔炎の抗菌薬治療において、アモキシシリン及びクラブラン酸/アモキシシリンよ
り、セファロスポリン系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬の方が、治療効果が上回ることを示した
系統的レビューや無作為化比較試験は存在しないとされる 71,72 が、米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科
学会や ACP/CDC の指針では、中等症以上の急性鼻副鼻腔炎で抗菌薬の適応がある場合には、安
全性や有効性、費用、対象とする細菌の種類の狭さからアモキシシリンが第一選択薬として推奨
されており 21,72、同指針では、その時の用量等は、アモキシシリン 1 回 500mg 注8を 1 日 3 回 5-7
日間経口投与とされている 21。また、同指針では、耐性菌である危険性が高い症例や一次治療不
応例ではクラブラン酸/アモキシシリンを選択することとされており、この時の用量等は、クラ
ブラン酸/アモキシシリン 1 回 375mg とアモキシシリン 1 回 250mg を、1 日 3 回 5-7 日間経口投
与することが示されている 21。
抗菌薬を用いる治療期間については、従来は 10-14 日間が推奨されてきた 64 が、近年の研究で
は、短期間(3-7 日間)の治療は長期間(6-10 日間)の治療に対して有効性は劣らず、さらに、
5 日間治療と 10 日間治療を比較した場合、有効性は同等で、副作用は 5 日間治療の方が少ないこ
とが報告されている 73。
日本では、アモキシシリンの鼻副鼻腔炎に対する効能・効果は薬事承認されていないが、社会
保険診療報酬支払基金の審査情報提供事例において、原則として、「アモキシシリン水和物【経
口】を「急性副鼻腔炎」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める」ことが示されて
いる。また、添付文書では、急性副鼻腔炎に対して設定されたものではないが、アモキシシリン
の用法・用量は、ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症に対して、成人では、「アモキシシ
リン水和物として、通常 1 回 250mg(力価)を 1 日 3-4 回経口投与する。なお、年齢、症状によ
り適宜増減する。
」とされている。

注8

本手引きでは、薬剤の用量について、製剤量ではなく成分量(力価)で示した。

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